地球環境とリモートセンシングA-2022-

リモートセンシングとは人工衛星、航空機、ドローン等のプラットフォームにセンサーを搭載し、地表を観測する技術です。我々が直面している地球環境問題はリモートセンシングを使って理解し、解決の一翼を担うことができるはずです。 この講義では人が暮らす陸域の環境について扱います。21世紀に入ってから起きた様々な事象を思い出してください。自然のこと、社会のこと、人と自然の相互作用のこと、等々。環境、すなわち人あるいは生態系と相互作用する周囲、のあり方については多様な考え方が錯綜する時代になったといえます。この講義ですべての課題を扱うことはできません。今年は前半で近藤が環境の理解に関する講義、後半で楊偉が水環境、植生に焦点を当てた講義を行います。

2011年3月11日、東北太平洋沖地震により、南門近くの工学系総合研究棟1の8階では高層ビル特有の長周期の揺れに見舞われ、天井は落ち、本棚はすべて倒れ、悲惨な状況になってしまいました。一段落して外を見ると、ポートタワーの向こう側に巨大な火柱が見えました。京葉工業地帯で石油タンクの火災でした。当時、皆さんは小学生でしたが、記憶に残っているでしょうか。東日本大震災発生から10年経ちましたが、災害は終わっていません。

講義開始は4月14日2限です。ZOOMで実施します。Moodle2022にURLを掲載します。講義資料および関連情報はこのページにありますので、予習・復習に使ってください。来年から高等学校の授業が変わります。環境関連分野では「地理総合」が必履修化されます。アクティブ・ラーニングも導入され、生徒(高校まで)・学生(大学)が自立的、自律的に考え、教員と相互作用する力が重視されます。ということは高校生も“生徒”から“学生”に変わるということです。大学における学びの習慣を身に付けてください。


近藤担当の講義はタイトルをクリックして、講義資料のページへジャンプしてください。その他の講義はMoodle22を参照してください。近藤の講義には課題があります。課題といっても相互作用のための課題です。あなた自身の考え方、主張したいことを記述して近藤まで送ってください。ただし、論理構成を明確に。

No. 実施日 担当者 タイトル 課題提出日
1 4月14日 近藤 環境リモートセンシング(T) それって何? ---
2 4月21日 近藤 環境リモートセンシング(U) 環境問題の現場から ---
3 4月28日 近藤 環境リモートセンシング(U) 環境問題の現場から ---
4 5月12日 近藤 環境リモートセンシング(V) 災害の現場から ---
近藤は2022年度が大学最後の年となります。永年にわたり、“環境”に関わってきた経験を時代のコンテクストの中で位置づけて解釈した結果を話したいと思います。それは近藤の私見ですが、発信することにより“読者”が増えれば時代の精神になるかも知れません。現代哲学は、いかに美しく生きるか、を主題としますが、普遍性はありません。ただし、読者が増えれば、その哲学が時代の精神になるわけです。それと同じです。理系の方にはわかりにくいかも知れませんが、現代は文系、理系を超えた総合知が必要な時代になりました。新しい時代の学術を学んでほしいと思います。

リモートセンシングについてもっと知りたい方のためのリンク


近藤担当に関する注意点

大学の講義では学生諸君は受身の講義から、考える講義へと態度を変えてください。地理学者である近藤の世界観、自然観、社会観に基づいて講義を進めますが、ひとつの考え方を一方的に伝えるのが教育ではありません。多様な考え方があるということを学んでください。環境はいろいろな考え方、価値観を止揚したところでようやく見えてくるものなのだと思います。

講義資料は予習・復習に使ってください。学生の皆さんは私の話すべてに同意する必要はなく、自分で考える材料にしてください。

課題の書き方について

「私は〜思う」、という文章では評価は困難です。思うことは自由です。なぜ、そう考えるのか。その素材や論理的な考え方を同時に記述してください。「私は、こう考える。なぜなら、〜だから」、「〜こういう理由や、〜といった論理的な思考に基づき、私は〜考える」、といった構成にしてください。大学の講義では与えられたものを単に受け入れるのではなく、自分で調べる、考える行為も単位の中に含まれています。

環境リモートセンシング(T) それって何?(PDF)

 環境リモートセンシングの環境の部分について話します。リモートセンシングから地表面近傍を観測した結果が得られます。でも、それだけでは不十分です。結果の意味することを知らなければなりません。リモートセンシングの技術と環境に関する深い知識、経験を融合させたところに環境リモートセンシングがあります。

 2022年4月14日の課題のコメントはここに記入します。少しずつ追加しますので、時々寄ってください。

 各シートごとの説明はここをクリックしてください。

 課題1 (これは過年度の課題です。今年の課題はMoodle22にあります)

あなたの考えるポストコロナ社会についてお聞かせください。新型コロナ禍が終息(収束)した後の社会は、変わるでしょうか。変わるとしたらどんな社会になると考えていますか。あるいは、変わらないとしたらなぜですか。自由に記述してください。
Moodleでも提出できるように設定しますが(Moodleはタイトルが文字化けしてしまうので好みではないのですが)、近藤宛メールでも結構です。メールの際は件名に【地球環境とRS】と記述してください。後で検索がしやすくなります。

 コメント ここをクリックしてください(2021年度のコメントです!)。

個別のコメントは返さないことにして、ここに全体のコメントを書きます。ただし、近藤の話すことが正解というわけではありません。自分で考えること。コメント返しも期待しています。

 役に立つリンク(リンクが表示できない場合は、右クリックして新しいタブあるいはウィンドウで開いてください。以下に示すリンクは一例です)

環境学という分野はまだ体系はできていないと思いますので、これを読めば一発でわかるといった教科書はありません。環境問題というのは、それが地球環境問題であっても、問題が発現するのは地域における人と自然の関係性の問題として顕れるからです。まず、近藤が関係性を持っている学会をいくつか紹介します。まずは訪問してください。その他にもたくさんの環境にかかわる学会があります。
重要な学会の機能に論文の出版があります。研究とは“新しい知識生産”と定義できますが、それを査読制度(匿名の査読者による内容の評価)によってオーソライズするのが学会です。学会が出版する学術雑誌から関心のある論文を選択し、読むことで最新の知識、経験に触れることができるでしょう。日本の学会の論文は国立研究開発法人科学技術振興機構[JST]がWEB上で公開しています(J-stage)ここから論文を探して読んでください。千葉大学では電子図書館を通じて世界の学術雑誌にアクセスすることができます。
官公庁や民間のシンクタンクの情報公開も使ってください。ただし、地球温暖化といった個別課題について背後にどのような基本的考え方を持っているのか、という点は注意して読み取ってください。例えば、石炭の利用について環境省と経産省の考え方は?民間はどう考えているのか?(経団連など)
個人や団体のページを紹介します。皆さんはただ受け入れるのではなく、背後にどのような世界観、自然観、人間観、等があるかどうかをじっくり考えて、批判的に読んでください。 たまたま思いついたページを紹介します。
新型コロナウィルス災禍のもと、本が売れているそうです。日本は勉強しようと思ったら、いろいろな本が揃っている、世界でも稀なすばらしい国です。文庫や新書でしたらそんなに高くないので、探して読んでください。なぜ本を読むのか。それは自分で判断し、生きていくためのデータベースを頭の中に構築するためです。最近、平家物語と方丈記を読みました。この二つを読むと、現代社会における生き方についていろいろ考えさせられますよ。WEBで本を探すのも良いけれど、街の本屋さんにも行きましょう。出会いがあるかも知れません。

環境リモートセンシング(U) 環境問題の現場から(PDF)

 環境リモートセンシングの環境の部分に関する話題その2です。リモートセンシングから地表面近傍を観測した結果が得られます。結果の意味することは何だろうか。食糧問題、エネルギー問題、水問題を通じて何を理解すべきか、何を解くべきか、という観点から話をしたいと思います。

 2022年4月21日の課題のコメントはここに記入します。少しずつ追加しますので、時々寄ってください。

 2022年4月28日の課題のコメントはここに記入します。新聞記事はこれです。

 各シートごとの説明はここをクリックしてください。

 課題2 (これも過年度の課題。参考にしてください。)

あなたが“環境問題”と認識している事象をひとつ選択し、その歴史的背景、原因について簡単に記述してください。別の表現をすると、その事象の要因となるリンク(関係性)のネットワークについて記述してください、となります。提出して頂いた内容に基づいてメディア講義で深掘りしたいと思います。

 コメント ここをクリックしてください(2021年度のコメントです)。

 課題3 (これも過年度の課題。参考にしてください。)

食糧に関する話題を提供しました。食糧生産と人の営みの間には様々な関係性があることを理解して頂けたと思います。さて、食糧安全保障は国にとって重要な課題と認識されていますが、近い将来食糧不足は起きるかどうか。起きるとしたらなぜか、起きないとしたらどうしてか。あなたはどう考えますか。

 コメント ここをクリックしてください。参考まで。

 役に立つリンク(リンクが表示できない場合は、右クリックして新しいタブあるいはウィンドウで開いてください)

世界の動きをサーチしよう。今、重要な課題は何だろう。SDGs、気候変動、などいろいろあります。世界の意思と日本の意思は同じだろうか。自分との関係性をどう捉えますか。世界を良くするために、自分ではない誰かが、自分のために、何かをやってくれますか。そんなことはありません。若い君たちには何でもできます。 まずは世界の動向をしっかり掴みましょう。
世界で何が起きているのか。それを知るには雑誌が一番です。アジアの現状、真実を知るには「東南アジア研究」、世界の森林の現状を知るには「海外の森林と林業」をお薦めします。その他、農業、資源、等々、表向きの言説と真実は大分異なることがあります。真実を見通す力を大学で養ってください。

環境リモートセンシング(V) 災害の現場から(PDF)

災害のリモートセンシングとは何だろうか。災害が遠くから見えただけで良いのだろうか。ハザードのメカニズムがわかれば安全になるのだろうか。そんなことはありません。土地の性質を知り、ハザードを予見して、その土地に適応して暮らす。そのことにより、ふるさとで暮らすという諒解が生まれる。そこにリモートセンシングはどのように関わったら良いのだろうか。君たちは災害が起きるたびに、“見えました”という情報に接することになるだろう。しかし、見えたことの意味は何なのか、我々は何をしたら良いのか、考える姿勢を身につけてください。

 各シートごとの説明はここをクリックしてください。

 課題4 (これも過年度の課題。参考にしてください。)

災害というと発生時の緊急対応といったイメージが強いと思いますが、災害看護学(千葉大学では博士課程のコースがあります)では災害サイクルとして、災害発生後の急性期、亜急性期、慢性期、 復興期、静穏期、前兆期と進む時間軸の中で災害を捉えます。この図は災害サイクルを具体的に説明した図です(クリックして図を表示)。多くの人々にとって現在は静穏期〜前兆期といえます。もちろん最近の災害の被災者にとっては慢性期〜復興期にいると考えられます。
私たちが静穏期にいるとすると、私たちは何を考え、どのように行動したら良いでしょうか。あなたの考え方を聞かせてください。

 コメント ここをクリックしてください。

 役に立つリンク(リンクが表示できない場合は、右クリックして新しいタブあるいはウィンドウで開いてください)

災害に係わる現業機関・組織等

合成開口レーダーの応用

その他の資料等


環境リモートセンシング(W) 新型コロナ禍の中で何を考えたらよいのか

新型コロナ禍に際して、何を考えたら良いのか、学生の皆さんに近藤の考え方を伝えたいと思います。できれば皆さんと対話したいのですが、メールでも結構ですので連絡ください。長く生きていると20世紀終盤から時代の底流は変わりつつあるように感じます。COVID-19はその流れを加速しているのかも知れません。新しい時代は来るのでしょうか。社会の変革(SDGsの目標です)は起きるのでしょうか。実はあなたがプレーヤーなのだ、ということに気付いてください。

参考リンク


近藤担当を終えて
環境問題の解決には唯一の答えはありません。尊重すべき様々な考え方の中で、諒解を得るためには対話が必要だと思います。近藤と対話がしたい、あるいは近藤のコメントを聞きたいという学生は連絡ください。いつでも対応可能です。ただし、近藤は今年で定年ですので、早めにお願いします。

質問は近藤まで:kondoh@faculty.chiba−u.jp