地域環境リモートセンシング2022 (近藤担当)

リモートセンシング・コースにおける最後の講義となりました。近藤は環境を対象として研究を続けてきました。環境とは人、自然、社会が相互作用する範囲です。自然ではありません。環境と関わり続けてきたことで近藤の自然観、地球観、社会観、人間観はずっと変化し続けてきました。個別の課題の講義資料も下の方に準備してありますが、今の日本は自分で勉強するということについては世界でも最高のレベルにあります。足りないのは対話だけ。最後の講義では環境に係わる諸課題、認識のあり方、などについてお話ししたいと思います。ただし、みなさんの考え方もMoodleを通じてお聞かせいただき、対話のネタにしたいと思います。


地域環境リモートセンシング2021 (近藤担当)

対面講義とオンデマンド講義を併用します。対面講義では、環境リモートセンシングの対象である環境の本質、学術と社会の関係、SDGs時代あるいはポストコロナ社会におけるサイエンティストのあり方、といった話題を提供します。具体的な対象に関する講義はオンデマンドとしますが、資料は下方の2020年版の資料を参照してください。

 11月26日

地域とは何か、環境とは何か。では地域環境リモートセンシングとは何か。この講義を通じて考えてください。そのために、環境に関わる様々な考え方について お話ししたいと思いますが、それは“正しいことを伝える”ことではありません。環境に関わる課題、問題は答えがない、諒解しかない、という場合がほとんどです。自然観、地球観、世界観、社会観、人間観、...に関する考え方をしっかり持っていないと問題に対応、課題を解決することはできないと思います。考え続けてください。
今日は2019年11月10日に開催された日本学術会議公開シンポジウム「地球システムと私たちの生活-人新世時代の想像力(Ⅱ)-」で近藤が話した講演資料を深掘りします。

 12月3日、10日

引き続き日本学術会議公開シンポジウム「地球システムと私たちの生活-人新世時代の想像力(Ⅱ)-」の話をします。
近藤の話したことをただ受け入れるのではなく、自分の考え方を明らかにしてください。場合によっては討論しても良いと思っています。日本は低成長時代、縮退の時代に入り、世代による価値観、考え方の相違が大きくなっています。こんな時代は様々な考え方を理解する力が大切なのではないかと考えています。

地域環境リモートセンシング2020 (近藤担当)


課題

地域の課題の理解と解決にリモートセンシングがどのように関わったらよいか、について話してきました。 大切なことは、現場と関わること、少なくとも総合的、包括的観点から問題の全体像を俯瞰し、リモートセンシングの役割を問題の解決を共有する枠組みの中に位置づけることだと思います。環境や災害に関心があるのであれば、デスクトップ・サイエンスだけでは現場の信頼を得られないことを理解してください。そうならないように、調べて、考える訓練をやってみましょう。
パリ協定を遵守し、2050年に実質ゼロカーボンを達成するためには、我々は何をやらなければならないのか、あなたの考えを記述してください。
【観点】・現在利用可能な技術の限界はあるのか、・イノベーションの可能性と困難は、・主要な炭素放出源は何か、減らすことができるのか、・エネルギー供給はどうすればよいのか、どんな壁があるのか、・社会や暮らしのありかたを変えることは可能か、...観点はたくさんあります。
提出期限:2月8日(月) 件名に【地域環境RS】と記入してメールで送ってください。

 ZOOMで講義を行います。MoodleにURLを掲示しました。

環境リモートセンシングの目的のひとつは、地域を知り、地域における良好な人と自然の関係性を構築することです。自然災害は人と自然が分断されたところで発生します。リモートセンシングで人と自然の関係性を読み取るスキルを身に付けてください。また、人の住む世界である都市と農村の関係性を良好に保つことが持続可能な社会づくりに必要です。ポストコロナ社会の構築の観点からもこの課題はますます重要になってきました。そこで、様々な災害および都市、農村を題材にして基礎的知識を提供し、リモートセンシングの活かし方について話そうと思います。ここで扱うリモートセンシングには衛星~低高度リモートセンシングを含み、空中写真も重要なリモートセンシングの成果と考えます。

第1講 12月4日 序論
第2講 12月11日 福島で起きたこと
第3講 12月18日 河川水文学
第4講 12月25日 森林水文学
第5講 1月8日 水流発生機構
第6講 1月13日 モンスーンアジアの水文地域
第7講 1月22日 乾燥地域の水文学
第8講 1月29日 ドローンによるリモートセンシング

序論

近藤の講義は最初に科学史、科学論、環境論といった内容で入ります。ここでは「環境リモートセンシング概論Ⅰ」、「地球表層観測学」、「地球環境とリモートセンシングⅠ」の近藤担当の序論をもう一度学習してください。
ここからが本番です。2019年11月10日に日本学術会議公開シンポジウム「地球システムと私たちの生活-人新世時代の想像力Ⅱ-」において「リモートセンシング研究からSDGsへの貢献」と題した講演を行いました。その講演資料を基にして講義を行いたいと思います。
2020年7月開催のJpGUスペシャルセッションで、「ポストコロナ社会と地球人間圏科学」という講演をしました。この内容も関連していますので、参考にしてください。

福島で起きたこと

世界の歴史に記録される福島における原子力発電所事故は、科学にとっても再考すべき課題を科学者に突きつけたといえます。これからの科学のあり方にも関わるFUKUSHIMAについてみなさんと考えて見たいと思います。下記のページを使って話をします。
来年3月に東日本大震災は10年目を迎えます。被災者の方々にとって震災は終わっていないのです。原子力災害も同じです。いくつか寄稿を依頼されましたので、ドラフトを掲示します。参考にしてください。

河川水文学

水害が頻発しています。我々はどのように対応したら良いでしょうか。リモセンで何でも解決できるでしょうか。モニターできれば良いのでしょうか。これからのリモセンは解くべき課題の解決を共有する“協働の枠”(これが超学際といっても良い)の元で、役に立たなければなりません。水害に対応するためには河川のことも知らなければならないのです。

書籍の紹介

情報の提供


森林の機能

ダムによらない治水は可能か。それを議論するためには森林の水文学的機能を知らなければなりません。この分野は「森林水文学」という分野に含まれます。森林影響研究といって、長い研究、観測の歴史があります。 20世紀の初頭、ドイツで発祥した近代水文学を学びに日本とアメリカから留学した研究者が日本、ヨーロッパ、アメリカにおいて森林影響研究を深めました。水利科学誌で野口陽一著「歴史としての森林影響研究」として5回のシリーズがあります(J-Stageで取得できます)。研究という行為において、歴史を知ることは必須の行為だと思います。ぜひ読んでください。

水流発生機構

聞いたことのないタイトルだな、と思われるかも知れません。山地斜面の降水が、どのようなメカニズムで渓流になるか、という課題を研究しています。そんなの、斜面を流れて谷に到達して川になる、に決まっているではないか、と思うかも知れません。実はそんな単純なメカニズムではありません。このメカニズムの認識を誤ると、物質循環(それは時には汚染物質かも知れません)の認識を誤り、間違った対策を立ててしまうかも知れません。課題に対して、頭で考えたメカニズムで解こうとする場合、結果が出てきても、それが正しいとはいえません。環境リモートセンシングの研究者は、リモートセンシング技術だけでなく、対象に対する深い知識、経験が必要なのです。

モンスーンアジアの水文地域/乾燥地域

モンスーンアジアの特徴は湿潤というより、湿潤と乾燥が隣り合っていることだと考えています。その特徴が地域における営みを形成しています。地域について知ることで、問題の理解と解決の手法としてのリモートセンシングを位置づけることができると思います。

ドローンによるリモートセンシング

ドローンの話は、近藤研究室のホームページのニュース欄を探して下さい。たくさんの話題を見つけることができます。新しい技術は、研究を進歩させます。活用してください。