2022年度「地球表層観測学」(近藤担当)

共用棟1階102講義室で実施しますが、ハイブリッドで配信も試みようと思います。ZOOMのURLはMoodleで連絡します。本講義では、環境リモートセンシングの対象である地球表層における諸現象、地表面を構成する様々な要素の分布と変化、人間活動による生産や環境への影響、等を理解し、それらの現象、事象を観測し、解析することができるリモートセンシングの方法について講義を行います。評価は3名の担当者ごとに小テストあるいは課題を課して評価します。

講義予定

連番 実施日 担当 タイトル
@ 5月23日 近藤 環境リモートセンシング概論
A 5月30日 近藤 植生のリモートセンシング1:人間と森林
B 6月6日 近藤 植生のリモートセンシング2:植生変動
C 6月13日 近藤 階層的リモートセンシング−グローバルとローカル
D 6月20日 近藤 都市環境リモートセンシング−ヒートアイランド

 *5回分の順番は決めましたが、近藤担当の最終年でもあるので、環境について近藤が考えつづけてきた話題に逸れることがあると思います。予定されたコンテンツのすべては終わらないかも知れませんが、このページで学んでください。なお、下記のコンテンツには過年度のものが含まれます。課題等の指示はMoodleでお知らせします。


@ 環境リモートセンシングとは何かーリモートセンシング概論

講義資料 (地球環境科学特別講義Uと共通) テキストベース講義 地球環境科学特別講義Uも参照してください。

環境リモートセンシングは、環境リモートセンシングの両方を扱います。環境を理解している研究者が、リモートセンシングにより環境を計測、モニタリングすることにより、より深い環境の理解が可能になります。事実だけでなく、真実を読み取ることができる知識、経験を修得すること、それが教育目標です。

課題 提出期限4月18日 メールで近藤に提出、件名に【地球表層】と入れること(後で検索しやすいから)

課題といってもアクティブ・ラーニングとするためのアンケートのようなものです。もちろん、大学院の講義ですので、自身の考え方を論理的かつ明快に記述してくれれば評価は上がります。
“環境”とは人間を中心に考えると、「人間(あなた)を取り巻き、相互作用する範囲」といってよいでしょう。だから、人によって環境の範囲は異なるという捉え方も可能です。グローバル化、情報化が進んだ現在、その範囲は地球全体あるいは宇宙に及ぶこともあります。この範囲は物理的なものだけではなく、情報を通じた相互作用で、“あなた”の意識の世界を形成し、それが“あなた”の考え方に影響を与えています。では、“あなた”が見ている世界、そして“あなた”の考え方を形成している“範囲”はどういう範囲か。あなたの認識を記述してください。
抽象的な表現になりました。 でも考えてください。世の中は“本質的なもの”を求め始めたと思います。新型コロナ禍はその流れを加速したといえます。大学も同じです。大学の本質的な価値が問われる時代になりました。学生も具体的な“考える力”が求められる時代になったと捉えてください。
【提出期限】 4月18日(金) ヘッダーに【地球表層】と書いてメールで送ってください。宛先はkondoh(at)faculty.chiba-u.jpまで。 その後の講義(このページ)でコメントします。

参考文献・参考情報

課題に対するコメント等(2020年度のものですが、参考まで)  2021年度のコメントはここに記述します。 

ここでは回答頂いた内容について、コメントを記入します。あるいは、質問に対する回答掲載します。さらに、意見・異見をお寄せください。WEBを通じた対話を行いたいと思います。また、時々脱線もしたいと思います。 そこに本質的な意味があるかも知れません。

以下は2019年度のものです。


課題 4月19日講義分の課題。ちょっと難しいかも知れないので、4月30日を〆切にしています。 

Moodle2021の課題でテキストベースで返信するように設定します。
関礼子ほか「環境の社会学」、有斐閣アルマ(2009)にこんな記述があります。「本書は、『人類にとっての生存基盤である環境』とか、『人類が共通に解決すべき地球環境問題』など、大上段に構えたところから環境と社会を語らない。むしろ、こうした語り口は、『脳内環境問題』として揶揄される。」
これは現在の問題を解決して未来を展望する立場と、想定されたあるべき未来からバックキャストする立場の違いを表していると考えられます。このように視点、視野、視座が異なると同じ問題が異なって見えることがあります。どんな事例が思い浮かびますか。
前掲の書籍ではツバルの水没問題が例として挙げられています(講義資料にあり)。あなたが取り組む環境問題が、現在の問題なのか、未来の問題なのか、現在と未来の関係はどうなっているのか。また、名前も顔も見えない平均的人間を対象としているのか、名前があり、顔があり、暮らしがある個々の人間を対象にhしているのか、こんな観点から考えてもよいと思います。

A 人間と森林

4月26日は途中まで話しました。5月10日は残りを話してから次の課題に進みます。課題はMoodleの5月10日分として出します。
森林はリモートセンシングの重要な対象です。衛星観測により現在の森林の状況、観測機関における変化、等がわかります。では、問題の本質はどこにあるでしょうか。リモートセンシングで見えたことの意味を理解することにより、問題解決に結びつけることができるかも知れません。ここでは、人間と森林の関わりについて講義します。ただし、対象を森林とした場合、その視点はたくさんあります。森林リモートセンシングを志すならば、まず森林に関する科学を学び、リモートセンシングを応用する課題を見つけてください。

講義資料 テキストベース講義

課題 これは2020年度の課題です。2021年度はMoodle2021で課題を掲示します。

森林のリモートセンシングは この分野の要だと思います。だからこそ、背後で起きている人間の営みを知っておく必要があります。
インドネシア、スマトラ島の平野部における森林の変遷をGoogleEarthを使って観察し、判読してください。もちろん本格的な画像解析をやってもOK。@どんな変化が見えたか、Aその背後でどんな人の営みがあったか。
Aがアドバンスな課題です。ここがクリアできるかどうか、が大学院生の情報収集する力、考察する力の見せ所です。

課題に対するコメント等(2020年度のもの)

ここでは回答頂いた内容について、コメントを記入します。あるいは、質問に対する回答掲載します。さらに、意見・異見をお寄せください。WEBを通じた対話を行いたいと思います。また、時々脱線もしたいと思います。 そこに本質的な意味があるかも知れません。

 参考文献、参考資料

まず学術雑誌を調べる習慣を身に付けよう。以下は参考ですが、欧文ジャーナルも探してください。環境問題は論文だけではなくジャーナリストの報告にも真実が含まれています。例えば、内田道雄の著作を読んでみてはいかがですか。やる気のある方はFAOSTATを使って検証もできるかも知れません。

その他の参考文献・参考情報

レビューシート・質問票より(2019年度)


7月13日講義分


B 植生変動

講義資料(2017年4月24日更新) テキストベース講義

レビューシート・質問票より(2019年度)


C 階層的リモートセンシング

講義資料 学術会議公開シンポジウムの資料を使って深掘りします。テキストベース講義

2019年12月に開催された学術会議公開シンポジウムにおいて、「リモートセンシング研究からSDGsへの貢献」と題して講演しました。これは、「SDGsへの貢献」が共通ワードとなっているシンポジウムです。学術会議は現在大変な荒波にもまれていますが、日本が学術(scienceの日本語訳)を通じて世界に貢献する窓口として機能しています。日本のための科学技術を推進する組織が総合科学技術・イノベーション会議です。もはや日本には世界の幸せを考える余力は残されていないということでしょうか。
副題に「達成は協働、連携で」と書きました。科学者が論文を生産したら、書いてあることは誰かが社会に実装し、役立てるのでしょうか。考えてください。日本は縮退社会に入りました。成長時代の考え方はだんだん通用しなくなります。世界も同じです。だから、SDGsが出てきました。SDGsの17番目の目標はパートナーシップです。

課題

課題は今回はお休みにします。ただし、考えてください。質問を受付け、ここで答えることにします。

D ヒートアイランド

近藤のヒートアイランド研究は1987年10月に東京都立大学理学部地理学教室に着任したときに始まりました。同じ日に着任したのが古気候、ヒートアイランド研究で有名な三上岳彦先生でした。 三上先生はランドサット5号の首都圏の夜間熱赤外画像を持っており、解析を託されたのがきっかけでした。
1984年8月14日の午後9時頃に撮影された熱赤外画像には首都圏と関東平野の諸都市のヒートアイランドが明瞭に記録されていました。ところが、接地境界層、ヒートアイランド研究で有名なOke教授も連名するRoth et al.(1989)には“夜間のヒートアイランド強度と衛星による輝度温度分布の相関は低い”と書いてありました。なぜか。ここに研究のモチベーションが生まれました。

講義資料

参考文献・参考情報

レビューシート・質問票より


最終課題

ポストコロナ社会はどうなればよいと思いますか。あなたのプランを聞かせてください。〆切は5月末にしましょう。近藤までメールで送ってください。