リモートセンシング入門 2021

 2021年度もオンラインで開講します。テキストベースオンデマンド型オンライン講義を先行させて(事前課題あり)、対面形式あるいはオンラインによる対話・議論を12月以降に予定します。基礎的な部分はオンラインで十分理解できると思いますが、環境に関する理解を深めるためには対話・議論が効率的です。そのため、複数の事前課題に対する皆さんの記述を共有して、対話・議論を行いたいと思います。

リモートセンシング入門を開講します。とはいえ、3年生の皆さんはすでに研究室が決まり卒業研究を始めていると思います。研究室で新しい技術も学んでいることでしょう。ここでは最もベーシックなリモートセンシングの話をしようと思います。
今は多くの衛星データはネットが無償で公開されるようになり、様々な用途に低コストで利用できるようになりました。しかし、便利がもたらす弊害もあります。皆さんはキュービックコンボリューション法という用語を講義で学ぶことになると思います。衛星データは地球表面からの反射された電磁波のエネルギーを計測しています。その絶対値から地表面の性質や特徴を解析することができるわけです。デジタル画像では元画像はエネルギーの大きさを画素の値として保存していますが、公開される段階で画像としての美しさを見せる補正がされることがあります。その方法の一つがキュービックコンボリューション法です。画像が持つエネルギー情報はゆがめられますが、画像としてはきれいになります。この例のような基礎を知らないと、応用の段階において失敗することもあり得るでしょう。便利、簡便さは技術開発の目的の一つですが、それが人間の行動様式に大きな影響を与えることがあります。技術を使うときには十分心してほしいことです。
環境リモートセンシングとは何でしょうか。環境“と”リモートセンシング?いいえ、環境“のための”リモートセンシングだと私は考えています。環境とは人と自然が相互作用する空間のことです。環境問題とは人と自然の関係性に関する問題です。それがグローバル環境問題だとしても、問題は地域における人と自然の関係性の問題として現れます。
だから、問題解決のためには、まず地球および地域を知ること、そこにリモートセンシングやGIS(地理情報システム)の技術を適用できる素養を身につける必要があります。それが、時間と空間で世界を見る習慣です。世界はたくさんの地域が様々な関係性を持って相互作用しながら形成されています。その関係性を知ることが、問題解決につながります。

①事前課題 ②課題を巡る対話 ③リモートセンシングの基礎 ④演習

 講義は①事前課題(11月15日提出〆切)、②リモートセンシングに関する基礎(11月~12月オンデマンド型テキストベースで実施、課題の提出は適時)、③アクティブ・ラーニング(12月以降を予定)の順番で行います。オンデマンド型テキストベースオンライン講義とオンライン双方向講義を考えたいと思います。2単位の講義ですので、それに見合うロードがあることをご理解ください。


 事前課題 (提出期限:11月15日) 提出していた回答をベースにアクティブ・ラーニング型の“考える”講義を実施します。11月中にコメントをホームページに掲載します。それに対する対話・議論を12月以降(予定)に行う予定です。

【提出方法】 近藤宛メール[kondoh(at)faculty.chiba-u.jp]で、件名に【RS入門】と書いて、送ってください。件名で検索して受信を確かめることができます。
GoogleEarth(あるいはそれに類するもの)を利用して、世界各地のリモートセンシング画像(空中写真でもよい)を閲覧し、人と自然の関係性について説明してください。

【意図】  リモートセンシングは技術としての側面を持っていますが、“環境リモートセンシング”は、リモートセンシングをツールとして環境、すなわち、いろいろな場所における人と自然の関係性のあり方を理解し、問題があればそれの解決を志向する科学です。そのためには、リモートセンシングのスキル以外に、対象に関する関心と知識、そして可能であれば経験が必要になります。大変だな、と思うかも知れませんが、学術が発展すると、自ずから多様な知識、経験が必要な段階に至ります。
【事例】  カンボジア、バ゙サック川のコルマタージュ
 GoogleEarth、あるいはGoogleMap等のツールで、メコン川の支流バサック川のプノンペンから約50km南付近を見てみよう。GoogleMapではここをクリックしてください。バサック川流路と直角方向にいくつもの水路が延びています。これを“コルマタージュ”と呼びます。メコン川の洪水は雨季に水位が上昇し、乾季に入ると下がる一年を周期とした変動をしています。雨季に堤防を切り、後背湿地に水を入れることにより、形成される自然堤防は住居や畑として利用し、後背湿地は浮き稲の栽培を行っていました。これは“農学的適応”といって、地域の自然に適応した伝統的な生業の形態とされてきました。ところが、コルマタージュは植民地時代に、ナイルデルタの洪水灌漑をヒントにヨーロッパ人が考案したものだという説を最近知りました。人と自然の関係性は、その土地の地域性と歴史によって変遷していきます。
課題を探すのが難しいと考えたあなた、最初から投げずに様々な書籍やWEBから自分で情報を集めて、自分で調べて、自分で考える習慣を身に付けてほしいと思います。若いときに乗り越えた経験は、必ず社会人になって効いてきます。それでも、どうしても見つけられないという方は近藤まで問い合わせてください。
 この課題に対する質問があったらメールで送ってください。この場で答えます。

皆さんが選択した地域を巡る議論・対話

事前課題に対するコメント2021をPDFで公開します。ただし、書き下ろしですので追加修正があるか知れません。時々訪ねてください。

最終課題は対話・討論が終わってから、もう一度同じ課題でまとめてもらう予定にしています。

以下は2020年度に提出して頂いた地域、問題に対する報告に対するコメントです。参考にしてください。2021年度はこれを参考にしても良いのですが、さらに深めたレポートをお願いしたいと思います。あるいは、新しい問題を発見して報告して頂ければおもしろいと思います。

リモートセンシングの基礎

各項目に対して質問を受け付け、このページ上で回答します。質問力も大学で学ぶべき重要な力ですので、良い質問だったら評価します。

参考図書

講義


演習

ここは古いページです。参考までに公開します。

今回使用した教材はここに置いてあります。参考にしてください。