| ≫HOME |
| アルベド albedo | |
| もとは、天体において外部からの入射光エネルギーに対する反射光エネルギーの比をいう。衛星リモートセンシングでは地表面アルベドr (λ ) を波長の関数として定めることが必要となる。地表面反射率は入射角 (θ 0,Φ 0) の関数として定義され、散乱角については積分を行った量である。これに対し、拡散アルベドrd は入射角および散乱角の双方について積分を行った量である。通常、アルベドというときはこの拡散アルベドを指す。 | |
| アンダーセンサンプラー | |
| いくつかの粒径範囲ごとにエアロゾルを捕集(サンプリング)する装置。多孔ノズルのステージが多段構造になっており、真空ポンプで装置内に周辺空気を引くと、各ステージ上につけられたフィルター上にエアロゾルが捕集される。サンプリング後のフィルターを化学分析することにより、エアロゾルの組成を調べることができる。 | |
| 位相関数 phase function | |
| 散乱理論において、微分断面積を全断面積で割ったもので、散乱光の角度分布を表す規格化された関数である。散乱角をθとし、位相関数を f (cosθ)とすると、f (cosθ)を全立体角で積分した値は1となる。 | |
| 位相敏感検波 phase sensitive detection | |
| 検出対象、たとえば分子の吸収に外部変調をかけておき、検出器からの信号と、変調と同期した参照信号とをロックイン増幅器で乗ずることにより、検出対象の信号を雑音と分離して検出する方法。変調周波数近傍の狭い帯域だけを増幅すればよいため、信号対雑音比を高くできる。 | |
| 渦相関法 eddy correlation method | |
| 大気微量成分(例えばCO2)の混合比を C 、垂直の風速を w とするとき、フラックスは F = n C wで与えられる。ここで、n は空気分子の数密度である。C と w を同時に測定し、当該成分の垂直フラックスを測定する方法を渦相関法という。塔を用い、CO2などの気体の生物圏-大気圏間における交換フラックスの測定の標準的手法として用いられている。 | |
| エアロゾル aerosol | |
| → 大気エアロゾル | |
| S 1パラメータ S 1 parameter | |
| ライダー比ともいう。ミー散乱ライダーのデータを解析してエアロゾル分布を求める際に、消散係数α と後方散乱係数β の比であるS 1を仮定する必要がある。S 1の値は通常の大気エアロゾルに対して10-100srと大きな範囲で変化するため、何らかの手段によって予め情報を得ておく必要がある。エアロゾルの粒径分布と複素屈折率が分かれば、S 1パラメータの値を計算することができる。なお、大気分子についてのライダー比はS 2で表し、S 2 = 8.52 srである。 | |
| NA numerical aperture | |
| 開口数。光が光ファイバーや半導体レーザーなどから射出するときある広がりをもつが、この広がり角の正弦 sinθ をNAという。この角度は半角なので、実際の射出角は 2θ となる。これらの光をコリメートする(平行にする)場合、NAの合ったレンズを使用する必要がある。半導体レーザーでは、NA=0.5程度が普通。 | |
| エルビウムドープ・ファイバー増幅器 Erbium-doped fiber amplifier, EDFA | |
| 石英光ファイバーのコアにEr、Nd、Sm、Hoなどの希土類イオンをドープすると、イオンからの誘導放出を用いて光増幅を行うことができる。中でもEDFAは通信波長帯である1.53 -1.6μmにおいて光増幅を可能とするため、広く用いられている。千葉大では、EDFAを用いたファイバーレーザー共振器内にC2H2ガスを入れたセルを置き、80倍に及ぶ実効光路長の増大が起こることを示した。 | |
| LUT法 lookup table method | |
| 多波長ライダー信号の解法として最近、千葉大により提唱された。エアロゾル物理的パラメータの鉛直分布を、ライダー信号の波長依存性およびミー散乱理論により計算された参照テーブル(LUT)を利用して導出する。従来のフェルナルド法では仮定が必要であったS 1パラメータの鉛直分布を求めることができ、情報量の豊富な近傍(地表付近)からの解析が可能であるため、導出される消散係数プロファイルはより精度の良いものとなる。また、複素屈折率、粒径分布の鉛直分布も同時に求まるため、単一散乱アルベド、位相関数等の、その他の光学パラメータも計算可能となる。 | |
| OPC Optical Particle Counter | |
| 光学式粒子数計測器。ポンプにより吸引した気流にレーザー光を照射して散乱光を受光し、パルスの波高値とパルス数から粒径と個数濃度をそれぞれ求める。これからエアロゾルの粒径分布を測定できることになる。粒径測定の較正にはポリスチレンラテックス粒子PSLが用いられるが、実際のエアロゾルの複素屈折率はPSLの値(1.595-0i)とは異なるため、補正が必要である。 | |
| 音響光学(AO)素子 acousto-optic element | |
| LiNbO3の結晶や鉛ガラスなど、音速が早く音波吸収が小さい物質中に超音波を励起し、生じた屈折率の周期的変化を利用して光を回折させる素子。 | |
| オングストロームパラメータ Angstrom parameter | |
| サンフォトメータによるエアロゾルの光学的厚さの観測において、τ (λ ) = B λ −p と表したとき、B を混濁係数、p をオングストロームパラメータという。通常0.5から2程度の値をとり、小粒径のエアロゾルが多い場合は大きく、大粒径(およそ1μm以上)の粒子が卓越する場合には小さい。このため、このパラメータを算出して、粒径分布の様子を調べることができる。 | |
| 外部共振器型半導体レーザー external cavity diode laser | |
| 半導体レーザーの一形態。一般的な半導体レーザーは、半導体素子両端が反射面として働き、それがレーザー共振器を構成している。片端面にコートして反射を減らし、外部に回折格子を置いて共振器の一方の折り返し鏡とすることで、広い波長領域で掃引することが可能になり、さらに線幅の狭い高品質なレーザー光を取り出すことができる。 → DFBレーザー | |
| 拡散アルベド | |
| → アルベド | |
| 拡散反射 diffuse reflection | |
| Lambertの余弦則 I θ = I N cosθ (I N は反射面に対し法線方向の光度[W/sr])に従う反射面。θ が大きくなると光度は減少するが、輝度は一定値を保つという性質をもつ。一般的な物体表面からの反射は、整反射(鏡面反射)と拡散反射の両方の寄与をもつ。国際照明委員会(CIE)によると、Lambert則に従い、かつ、全ての波長に対して分光反射率ρ λが1である反射面を完全拡散反射面と定義している。完全拡散反射面に近い表面の例には画用紙(ρ = 0.75)、新雪の表面(ρ = 0.9)などがあり、基準として用いられるものには酸化マグネシウム(MgO、ρ = 0.97)や硫酸バリウム(ρ = 0.98)が挙げられる。 | |
| 可降水量 precipitable water | |
| 地表から大気上端までの気柱に含まれる水蒸気(水滴は含まない)が、全て凝結して落下したと仮定したときの降水量。日本では夏季に40mm程度、冬季に10mm程度の値である。マイクロ波放射計で水蒸気の吸収を受けやすい波長と受けにくい波長の強度差を測定して算出することができる。 → GPS気象学 | |
| 重なり関数 overlapping function、geometrical form factor | |
| ライダーにおいて、出射レーザー光と望遠鏡の視野角との重なりを表す関数。通常、装置近傍で0、十分遠方(例えば100-数100m)で1となるように設計が行われる。装置付近からの後方散乱光を減少させることにより、検出器に過大な信号が入射することを防げる。→ 視野角 | |
| 輝度 radiance | |
| 放射輝度ともいう。記号はL 、単位はWm-2sr-1で与えられる。散乱光の強度を記述する場合には、受光装置の立体角を考慮する必要があるため、照度E ではなく輝度が用いられる。測光学では発光体の単位面積あたりの明るさを表し、単位はcd/m2である(cdはカンデラ)。 | |
| 客観解析データ objective analysis data | |
| 地上・高層観測や衛星観測データの精度評価を適切に行い、地球表面上において3次元格子点上の気象要素の値を定めたデータ。数値予報を行うためには大気の初期状態としての客観解析データの把握が不可欠である。 | |
| キャビティ・リングダウン分光法 cavity ring down spectroscopy (CRDS) | |
| 通常の高感度変調分光法はcwレーザーを用いるが、キャビティ・リングダウン分光法(CRDS)ではパルスレーザーを高フィネスのFP共振器に入射し、出力光の指数関数的な減衰時間を測定する。CRDSが微量気体検出法として広く用いられるようになってきた理由としては、吸収スペクトルが出力光強度の変化としてではなく共振器中の光強度変化の時定数で測定できること、フィネスの非常に大きな共振器、すなわち1に極めて近い反射率をもつ鏡を用いることにより実効光路長を数kmから数10kmまで伸ばせること、の2点が挙げられる。検出可能な最小吸収量は10-7cm-1に達する。ただし、レーザー光を共振器に入力するためには精密なモードマッチングを行う必要がある。この点に関しては、単一モードcwレーザーをAO変調器などにより外部でパルス変調する方式が、レーザー線幅の狭帯域化と相俟って検出感度の向上につながる。CRDSは微量環境気体の検出にコンパクトな装置を提供できる可能性がある。 → ファブリー・ペロー共振器 | |
| Qスイッチ Q-switch | |
| レーザー共振器において 2 π [光共振器に蓄えられたエネルギー] / [光が共振器を1往復する間に失われるエネルギー]をQ値という。音響光学(AO)素子や電気光学(EO)素子などによって損失を大きく(Q値を小さく)保っている間に反転分布を蓄え、外部からの制御で損失を急激に小さく(Q値を急激に大きく)することにより、大きな出力のパルスレーザー光を得ることができる。 | |
| 屈折率構造関数 structure function of refractive index | |
|
Kolmogorov型の屈折率構造関数は、次のように表される。 Dn(r) = <(n 1-n 2)2> = C n2 r 2/3 ( l 0 << r << L 0 ) ただし、< >は統計平均、C n2 は屈折率構造定数、l 0 および L 0 はゆらぎのinner scaleとouter scaleである。また、n 1 と n 0 は屈折率、r は2点間の距離である。l 0 は通常、数mmであり、L 0 は高さをh とすると、L 0 = h / 2 とすることが多い。 → 屈折率構造定数 |
|
| 屈折率構造定数 structure constant of refractive index | |
| 大気には屈折率が不規則に変動する、揺らぎ(turbulence)と呼ばれる現象がある。夜空の星のまたたき(seeing)や、夏場にかげろうにより景色が揺らいでいるのはその一例である。この原因は主として大気の屈折率分布(密度分布、温度分布)が一様でないためであり、その指標となるものに屈折率構造定数 C n2 がある。地表付近では C n2 は10-16から10-14m-2/3の値をとる。 → 屈折率構造関数 | |
| Klett法 Klett method | |
| → Fernald法 | |
| 雲水量 cloud water content | |
| 雲に含まれる微小な水滴(または氷晶)の質量濃度。層状雲では0.05〜0.5g/m3、対流雲では0.2〜5g/m3程度の大きさである。 | |
| 光学的厚さ optical thickness, optical depth | |
| エアロゾルや分子などの散乱体が存在する大気中を光が伝搬するとき、もとの光強度I0がある距離を通過後にI になったとする。このとき、I = I 0 exp(-τ )におけるτ (タウ)を光学的厚さという。τ =1のとき、光強度は0.368倍に減少する。 | |
| 光子計数法 photon counting | |
| 光電子増倍管による光子の測定において、光子数が大きいときの信号は信号の波高値そのもので与えられる。これをアナログ計測という。これに対し、光子数が少なくなるとランダムな時間間隔を隔てて光子が入射するようになる。この場合は、波高値ではなく、パルスの数、すなわち入射する光子数を計数して信号値とする。このような測定法を光子計数法という。 | |
| 高スペクトル分解ライダー high-spectral resolution lidar | |
| ミー散乱ライダーでは、同時に大気分子によるレイリー散乱信号も観測される。分子のドップラー効果はエアロゾル粒子のそれに比べてずっと大きいので、ミー散乱のスペクトル幅より狭帯域のレーザー光を射出して受信光をスペクトル分解することにより、両者の寄与を分離することができる。これを高スペクトル分解ライダーという。対流圏下層の大気ではミー散乱の信号が大きいが、このライダーではレイリー散乱の信号が分離でき、分子の情報が得られるため、気温の導出が可能となる。また、ミー散乱信号自体においても後方散乱の効果と途中の光路による消散の効果を分離できるため、エアロゾルの散乱特性の把握に優れている。レーザーを狭帯域にするには、半導体レーザーなどのcwレーザー光をパルスレーザーの共振器に注入する、注入同期 (injection seed)法が用いられる。 | |
| 後方散乱係数 backscattering coefficient | |
| → 微分断面積 | |
| 光路輝度 path radiance | |
| 衛星センサが受光する輝度値のうち、大気成分による散乱のみによって生じる部分をいう。単散乱光路輝度と、多重散乱光路輝度がある。 | |
| 混合核粒子 mixed-nuclei particle | |
| 1つの粒子中に、2種類以上の異なる性質を持つ物質が混合している粒子。岡田[1983]によれば、非水溶性粒子と水溶性粒子の約半分が混合核を形成していると述べている。混合核粒子が放射に与える影響は大きく、特に吸収の大きな物質を核とした混合核粒子は、レンズ効果により、それぞれ単体で浮遊していた時に比べて吸収を増大させる。 | |
| 参照プロファイル法 reference profile method | |
| 多波長ライダーデータの解析において、サンフォトメータによるエアロゾルの光学的厚さの波長依存性を副次的データとして利用して、複数波長のプロファイルが互いに矛盾しないように解を求める手法。短波長や長波長において十分遠方までの信号が得られず、したがって直接τマッチング法が適用できない場合であっても安定した解を得ることができる。 | |
| サンフォトメータ | |
| 太陽を自動追尾し、その直達光強度を分光測定する装置。その強度変化より、エアロゾルの光学的厚さを導出することができる。波長領域の選択には、通常、フィルターが用いられる。清浄大気の地点(高山など)において定期的に較正を行う必要がある。 | |
| 自然幅 natural width | |
| 真空(電磁場)のゆらぎと分子の相互作用によって生じる幅で、量子準位の寿命の逆数に等しい。ドップラー幅や衝突幅は、圧力や温度を変えることで狭くすることが可能であるが、自然幅ではそれができない。均一幅の一種。 | |
| 視程 visibility | |
| 大気中で、確認できる最遠の物体までの距離。完全黒体と空のコントラストから、大気中の消散係数α と視程V の間にはV =3.912 /α の関係が用いられる。 | |
| GMS | |
| → 静止気象衛星 | |
| GPS気象学 GPS meteorology | |
| GPS (global positioning system)に用いられる衛星からの電波の位相は、大気密度と大気中の水蒸気密度の影響を受けて遅延する。この遅延量から可降水量が計算できる。 | |
| 視野角 Field-of-view angle | |
|
焦点距離 f の望遠鏡の焦点に位置に直径 d の絞りをおくと、この絞りを透過できる光線束は、望遠鏡の端を通り光軸に対して角度 θF だけ外側に向いた直線によって決まる。このとき、 tanθF = d / 2 f となる。角度が十分小さければ、全角での広がり角は 2θF = d / f で与えられる。なお、直径 d が0に近づくと θF は0 に近づき、平行光線束のみが捉えられることになる。 |
|
| 周辺効果 adjacency effect | |
| 人工衛星のセンサが観測する輝度値のうち、対象となる地表面画素以外の地表面からの散乱光を含む成分を指す。→ 大気補正 | |
| 消散係数 extinction coefficient | |
| 散乱体が存在する大気中において、距離とともに光強度が減少する割合を表す。散乱体の分布が一様であるとし、もとの光強度をI 0、距離z を通過後の光強度をI とするとき、I =I 0 exp(-α z )におけるα を消散係数という。一般に、消散係数は散乱係数と吸収係数の和として表される。消散係数α は、散乱体の数密度をN 、消散の全断面積をσ とすると、α = σ N として与えられる。 → Lambert-Beerの法則 | |
| 照度 irradiance | |
| 放射照度ともいう、記号はE 、単位はW/m2で与えられる。通常、光強度というときはこの照度を指す。太陽光やレーザー光など、平行光線束の光強度の記述に用いられる。広がりをもつ光線束については、照度ではなく輝度を用いる。 | |
| 衝突幅 collisional width | |
| 気体分子は、周囲の分子と衝突するため、量子状態の寿命は自然幅に対応する寿命よりも短くなる。したがって、不確定性原理によりスペクトル線の幅は自然幅より広くなる。気体中のどの分子でも衝突確率は同じであるため、衝突幅はどの分子でも同じである(均一幅)。衝突幅は気体の圧力に比例し、比例定数は10MHz/Torrの程度の大きさである。この比例定数は分子の衝突断面積により変化し、一般に電気双極子モーメントをもつ分子同士の衝突において大きな値をとる。 | |
| 植生指数 NDVI Normalized Difference Vegetation Index | |
|
衛星データから地表面分類を行う際によく用いられる指数で、NIRを近赤外バンドでの観測値(デジタルナンバーまたは輝度値)、VISを可視バンドの観測値とするとき NDVI = (NIR - VIS) / (NIR + VIS) で与えられる。例えば NDVI≧0.25 を植生域、0.25≧NDVI≧0 を土壌域、NDVI<0 を水域のように分類する。 |
|
| Slope法 slope method | |
| → Fernald法 | |
| 静止気象衛星 geostationary meteorological satellite | |
| 赤道上空36000kmにあって、地表面に対して静止して気象観測を行う衛星。日本の衛星ひまわり5号は1995年に打ち上げられ、2003年夏以降は運輸多目的衛星(MTSAT)に置き換わる予定。可視バンド(波長500-750nm)の衛星直下点での分解能は1.25km(日本付近では約2km)、赤外バンド(10.5-12.5μm)の分解能は5km(日本付近では約7km)である。 | |
| 積分型ネフェロメータ | |
| エアロゾルの散乱係数を測定する装置。装置内に導入したエアロゾルを含む周辺空気に光を照射し、その散乱光強度を高感度センサで測定することにより散乱係数を決定する。散乱係数は散乱光の全光束(全立体角方向への散乱光を積分したもの)に比例するが、一般的な装置では約10〜170°の散乱角の光しか検出できないため、導出した散乱係数値に誤差を生じることがある(Truncation error)。 | |
| 積分球 integration sphere | |
| 中空の球体の内壁面上に拡散反射材料(酸化マグネシウムなどの白い粉体塗料)を均一に塗布したもの。電球のように放射光強度に角度依存性を持つ光源は、通常1回の測定でその全光束(W)を求めることは困難であったが、積分球を用いるとその平均化作用により全光束に比例した測定値が得られるため、容易にその評価が可能である。そのため積分球は標準光源の評価や、光センサ受光面の感度むら除去等に利用されている。 | |
| 多重散乱 multiple scattering | |
| 大気中の光伝搬過程において、一回の散乱にとどまらず、光が多数回の散乱を受けること。光学的厚さτが1より小さいとき、τの値は光路中で散乱体と衝突する確率を表す。したがって、τの値が1より大きくなると多重散乱光を考慮する必要が生じる。→ 光学的厚さ | |
| 全天日射計 | |
| 全天日射放射(直達光と天空光の和)を測定する装置。透明なガラスドームの中心に置かれたセンサにより紫外から近赤外領域の全ての放射を捕らえている。 | |
| DIAL differential absorption lidar | |
| 特定の分子の吸収を受ける波長(λ on)と、それからわずかにずれた波長(λ off)のレーザー光を同時に射出し、双方の信号を比較することによりその分子種の濃度分布を知るライダー。千葉大では波長可変固体レーザー装置によりNO2(波長450nm)やNO (226nm) 検出用のDIAL装置を開発した。 | |
| 太陽光スペクトロメータ solar radiation spectrometer | |
| DOAS光源として太陽光を利用する装置で、大気中の微量気体成分、たとえばNO2の鉛直コラム量を測定することができる。サンフォトメータの太陽自動追尾装置に取り付けて用いられ、エアロゾルと微量気体のコラム量を同時計測できる。千葉での計測では、NO2のコラム量は(1-10)×1016molecules/cm2程度の値をとり、冬季にエアロゾルの光学的厚さと高い相関を示した。 → DOAS | |
| 大気エアロゾル atmospheric aerosol | |
| 半径が0.01-1μmの微小粒子は、硫酸やアンモニア液滴の凝集(coagulation)過程により生じるもののほか、有機炭素成分を含んでいる。都市大気では、これに元素状炭素(すす)が加わる。半径が1-10μmの粗大粒子には、海塩粒子、土壌粒子など自然起源のものが多い。これより粒径の大きな粒子は沈降により除去される。大気エアロゾルは放射の散乱・吸収過程を通じ、大気の光学過程に大きな影響を及ぼすが、時間的・空間的に変化が激しいため、その特性把握のために様々な手段で観測・解析が行われている。粒径分布と複素屈折率が知られれば光学特性(位相関数、単散乱アルベド、非対称性パラメータ、S 1パラメータなど)を計算することができる。 → ライダー、大気補正、粒径分布、複素屈折率 | |
| 大気微量気体 atmospheric trace gases | |
| 水蒸気を除いた空気を乾燥空気というが、その組成は高度約10kmの対流圏のみならず、高度約50kmまでの成層圏、同80kmまでの中間圏を通じてほぼ一定であり、その主成分は窒素分子(容積比78.09%)、酸素分子(20.95%)、アルゴン(0.93%)、二酸化炭素(0.036% = 360ppm)である。水蒸気については、大気中に含まれている水蒸気がすべて雨になると約26mmになる。地球全体の年間降水量は約1000mmであるから、大気中の水蒸気は1年に40回入れ替わる計算になる。飽和蒸気圧から計算すると、中緯度においては水蒸気の混合比は4-15g/m3程度の大きさである。大気汚染の立場からは、次のような微量気体が問題となる。日本におけるSO2の環境基準は40ppb (0.04ppm)であるのに対し、1980年代後半からは10ppb未満の状態である。NO2の環境基準は40-60ppbである。自動車台数の増加に伴い、地上局の測定値はこれを超えることも珍しくない。気体ではないが、地上付近のエアロゾルは浮遊粒子状物質(SPM、suspended particulate matter)と呼ばれ、40-50mg/m3程度の状況が続いている。これは基準値の100 mg/m3はクリアしているものの、健康被害は大きいものと考えられ、主要な排出源であるディーゼル車の規制が強化されつつある。 | |
| 大気補正 atmospheric correction | |
| 可視・近赤外の人工衛星データは、地球大気におけるエアロゾルおよび大気分子の消散の影響を含んでおり、衛星データから地表面アルベドを正しく導出するためには、大気の影響を取り除く必要がある。これを大気補正という。大気補正には大別して、散乱仮定に地表面が含まれず大気成分のみが関与する光路輝度(path radiance)補正と、目標とする地表面以外の周囲の地表面での反射が関与する周辺効果(adjacency effect)補正の二つがある。大気補正を行うには大気成分による光学的厚さを知る必要があるが、エアロゾルの光学的厚さは地域的・時間的に変動が激しく、これが大気補正を困難にしている。なお、大気補正は衛星データから大気の影響と地表面の影響を分離する過程とも考えられ、したがって、エアロゾル情報を抽出することも可能である。 | |
| 太陽定数 solar constant | |
| 地球大気の上端において、太陽光線に垂直な1m2の面積が1秒間に受けるエネルギーで、その大きさは1370W/m2程度である。地球軌道が楕円であるため、夏至における太陽定数は冬至での値に比べて6.5%小さい。地表における値は、大気の光学的厚さによって大きく変化する。 | |
| τ マッチング法 τ matching method | |
| ミー散乱ライダーのデータの解析においては、S 1パラメータの値が予め知られていないことが多く、エアロゾルの消散係数を正確に求めることが難しい。この困難を解消するため、日中の観測ではサンフォトメータによるエアロゾル光学的厚さ τsunを利用し、ライダーデータから得られる光学的厚さ τlidar が τsun に一致する条件から S 1 を定めることができる。この方法の呼称として τ マッチング法という語を用いている。 | |
| ダークターゲット法 dark target method | |
| 可視域の人工衛星データの大気補正において、海面や植生域など反射率の低い地表面領域で観測される輝度値は、その大部分が大気による光路輝度であるとみなせる。これを利用して衛星データから大気状態(エアロゾルの光学的厚さ)を導出する手法をいう。→ 大気補正、光路輝度 | |
| 単散乱アルベド single scattering albedo | |
| エアロゾルに光が当たったとき、光が光線中から失われる現象を消散というが、消散は散乱と吸収の和として与えられる。(散乱)/(消散)の大きさを単散乱アルベドといい、ω 0で表す。すす(soot)などの吸収性エアロゾルが存在しないときにはω 0の値は1に近い。 | |
| 地球温暖化気体 green house gases | |
| 温室効果気体ともいう。地球表面から宇宙空間には、地球表面の平均温度である288Kの黒体放射が放出されている。これは波長10μmを中心とする赤外放射であるが、地球大気の成分のうちH2O、CO2、CH4などの気体はこの領域に振動回転バンド(長波長側では回転バンド)に基づく吸収を示す。たとえば化石燃料の燃焼によりCO2放出量が増加すると、それに伴って赤外放射の吸収量も増大し、結果として気温の上昇に結びつく。これが地球温暖化と呼ばれる現象である。 | |
| T-matrix理論 T-matrix theory | |
| 粒子形状を回転楕円体と仮定して解く手法。黄砂などに代表される非球形粒子の散乱計算に使われる。非球形粒子の散乱は、球形粒子に比べて散乱角90°以降の後方散乱パターンを大きく変化させる。また、偏光も球形粒子と大きく異なるため、偏光を測定することにより非球形粒子の同定が可能となる。 → 偏光解消度 | |
| DFBレーザー DFB laser | |
| 分布帰還形レーザー。通常の半導体レーザーはマルチモード発振で、共振器の縦モード間隔に等しい周波数を隔てて数本の発振線が生じる。DFBレーザーでは利得の生じる層に屈折率または利得の周期的変調構造を組み込んでおき、特定の波長(周期長の2倍)で発振しやすくすることによって単一モードでの発振を起こさせる。 → 外部共振器型半導体レーザー | |
| 電気光学(EO)素子 electro-optic element | |
| 電場により屈折率が変化するLiNbO3などの結晶を利用すると、光の偏向や変調を電気信号により制御できる。屈折率変化が電場に比例する場合をポッケルス効果、電場の2乗に比例する場合をカー効果という。 | |
| DOAS differential optical absorption spectroscopy | |
| 広いスペクトルをもつ光源からの光を大気中で伝搬させ、特定の波長領域に現れる吸収プロファイルを利用して大気中のNO2、SO2などの微量気体を検出する光学的測定法。→ パルスDOAS法 | |
| ドップラー幅 Doppler width | |
| 気体中で熱運動する分子が電磁波の吸収・放出を行うとき、速度分布(マクスウェル・ボルツマン分布)に応ずるスペクトル線の広がりが起こる。これは音の場合のドップラー効果と同じ原因で起こるもので、ドップラー広がりと呼ばれ、スペクトル線の幅をドップラー幅という。視線方向に対する速度ベクトルの成分の大きさによりスペクトル中心周波数のシフト量が異なるので、ドップラー幅は不均一幅の一種である。可視・近赤外領域のスペクトル線の場合、常温でのドップラー幅は1〜数GHzの程度である。 | |
| ドップラーライダー Doppler lidar | |
| スペクトル幅の狭いレーザー光を射出して、大気分子・エアロゾルからの後方散乱光のドップラー効果による波長シフトを測り、風速などの情報を得るライダー。コヒーレント方式ではヘテロダイン検波によるビート信号の周波数を測定する。インコヒーレント方式では、よう素の吸収線などを利用した急峻な特性をもつエッジフィルターを利用し、検出光強度の変化から波長シフト量を求める。 | |
| ドブソンユニット Dobson unit | |
| オゾンの気柱全量を表す単位。測定された1cm2あたりのオゾン分子数をロシュミット数の10-3倍、すなわち2.687×1016で割った数値で、通常量の成層圏オゾンが存在する場合の値は300DU程度である。これは標準状態(0℃、1気圧)で3mmの厚さに相当する。 | |
| TOMS total ozone mapping spectrometer | |
| 衛星からオゾン量を観測するセンサーとして、1978年から1994年まで用いられた。340nmと380nmのバンドを用いるとAerosol Indexを計算でき、紫外光を吸収するエアロゾルの検出が行える。 | |
| NOAA/AVHRR | |
| NOAAは、アメリカ海洋大気庁(NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration)によって運用されている気象観測衛星。AVHRR(Advanced Very High Resolution Radiometer)は可視から赤外までの5つのチャンネルをもつセンサの名称である。地表面分解能は1.1kmでTMにくらべて劣るが、観測幅は2800kmと広く、1つの衛星(高度約850km、周期約100分)で地上の同一領域を1日に2回観測できる。 | |
| HITRAN High-resolution transmission molecular absorption database | |
| 1960年代から米国空軍ケンブリッジ研究所を中心に開発され、現在に至っている分子・ラジカルの吸収線データベース。HITRAN2000には38分子種の108万本以上の吸収線が収録され、波数範囲は0〜23000cm-1である。吸収線の中心波数、強度など16のパラメータが示されている。 | |
| 波長変調分光 wavelength modulation spectroscopy | |
| レーザー光源により分子の微弱な吸収を観測する代表的な方法。周波数変調分光 (frequency modulation spectroscopy) のうち、変調周波数が比較的低いもの(〜10MHz)を指す。レーザー周波数に対して変調を加え、その変調周波数 (f) またはその整数倍の周波数で復調することで信号を得る方法。一般に、位相敏感検波器を利用して 2f で復調する。これによりベースラインが0レベルで、かつ小信号の抽出を行うことができる。なお、検出器信号を直接観測する場合には、分子吸収は小さなくぼみとして現れ、f で位相敏感検波する場合には吸収スペクトルの1次微分信号が得られる。変調周波数が高い(狭義の)周波数変調分光ではサイドバンドが立つので、これを利用して微弱な吸収の測定ができる。 | |
| バックワードトラジェクトリ backward trajectory | |
| → 流跡線解析 | |
| パルスDOAS法 pulsed DOAS | |
| 通常のDOAS法では光源として連続(CW)光源を使用するが、背景光の除去や長距離を確保するための大出力光源を設置することが難しい。そのため、千葉大では、背景光を容易に除去でき尖頭出力が大きいパルス(Pulse)光源を光源として利用するDOAS法を近年開発した。パルス光源は、手近な場所(煙突、橋、高層ビルなど)に設置されているので、それらを利用することで簡素な計測システムを構築することが可能である。 | |
| 光ファイバー optical fiber | |
| 屈折率の違う2種類の媒質の境界における全反射を利用した光導波路。コア(屈折率大)とクラッド(屈折率小)から成り、光はその境界面を全反射しながらコア中を伝搬する。石英ファイバーでは波長1.5μmで損失が最小となる。→ NA | |
| 非対称性パラメータ | |
|
大気エアロゾルによる前方散乱・後方散乱の寄与を表すパラメータ。 g = ∫P (θ ) cosθ dΩ / ∫P (θ ) dΩ で表される。g は、1のとき完全前方散乱、0のとき等方散乱、−1のとき完全後方散乱となる。大気エアロゾルによる可視光の散乱では、g は0.6〜0.8程度の値をとる。 |
|
| PPLN | |
| 小型のレーザー分光装置の光源としては、コンパクトなNd:YAGなどの固体レーザーを利用して波長変換を行う光パラメトリック発振器 (OPO)方式が適している。しかし、従来の非線型結晶を利用したOPOは励起光と信号光の光路が次第に離れていくウォークオフの問題、非線型定数があまり大きくないこと、また位相整合が可能となる温度が必ずしも適当な温度でないこと、などの問題があった。1990年代はじめに開発された周期的分極反転 (periodically-poled) LiNbO3 (PPLN) は、こうした問題を一挙に解決するものであった。必要な波長変換スキームに応じて分極反転の周期を変化させた結晶を使用し、準位相整合(QPM)を達成することができる。PPLNの特性を利用し、パラメトリック光発生器 (OPG)−同増幅器 (OPA) と単一素子 (monolithic) 受動QスイッチNd:YAGを組み合わせた、中赤外で波長可変の出力が得られるマイクロレーザーシステムの研究も急速に進展している。中赤外領域には多くの環境気体分子の吸収スペクトルが存在するので、高分解能光学的センサーの光源として期待される。 | |
| 反射率 reflectivity, reflectance | |
| 物理光学では、平面状の境界に平行光束が入射して正反射するときの光強度の比であり、振幅反射率の絶対値の2乗で与えられる。反射率は入射角の関数として変化する。偏光が入射する場合の反射率はFresnel(フレネル)の式により記述される。 → アルベド | |
| 反射防止膜 anti-reflection coating | |
| 通常のガラス表面での反射率は約4%であるが、光が多数のレンズを通過する場合などにおいてはこれを減らす必要がある。この目的で、屈折率1.5程度のガラス表面に、屈折率1.38のMgF2の薄膜などをコートする。 | |
| 微分断面積 differential cross section | |
| 入射光強度をI 0、散乱角θ 方向の距離r の点における光強度をI とするとき、微分断面積はdσ / dΩ = r 2I / I 0によって定義される。単位はm2/sr である。微分断面積を全立体角について積分すれば全断面積σ となる。θ = π における微分断面積に散乱体の数密度N をかけることにより、後方散乱係数 β が得られる: β = N (dσ / dΩ )θ = π | |
| Fernald法 Fernald’s method | |
| ライダー方程式の解法。大気分子と、エアロゾルの二つの成分を分離し、エアロゾルの消散係数を求めることができる。ただし、大気分子のプロファイルは既知とし、エアロゾルについても遠方での消散係数の値とS 1パラメータの値を仮定する必要がある。エアロゾルの濃度が高く、空気分子の寄与が無視できる場合にはKlett法が用いられる。この場合には、S 1を用いずに解が求められる。水平方向に近い角度での観測など、大気状態が一様であると仮定できる場合にはSlope法により消散係数が求められる。 | |
| Fire Potential Index | |
| AVHRRの植生指数と、地上観測局での気象データから森林火災の危険性を事前に予知することができる。アメリカにおいて1998年に提案されたもので、千葉大ではこの指数が熱帯域にあるインドネシア(カリマンタン島)においても有効に機能することを明らかにした。 | |
| ファブリー・ペロー共振器 Fabry-Perot共振器 | |
| レーザー共振器のように一対の鏡を向かい合わせて、特定の周波数(縦モード)の光のみに共振するようにした装置。共振の鋭さは鏡の反射率によって定まる。縦モードの間隔をfree spectral range (FSR) と呼び、FSRと一つの共振ピークの幅(半値全幅)との比をフィネスという。反射率が97%の場合、フィネスは100程度の値をとる。 | |
| 複素屈折率 complex refractive index | |
| 粒径分布とともに、大気エアロゾルの光学特性を支配するパラメータ。可視域では、硫酸アンモニウム・消散アンモニウム・有機炭素など代表的なエアロゾル粒子について屈折率の実部の大きさは1.55程度であり、湿度が高く水滴がつくと水の屈折率である1.33に近くなる。これに対し、虚数部は吸収の大きさに比例しており、すす(soot)が多く含まれると大きな値をとる。通常の条件下では0-0.005程度の値となる。 | |
| 分極率 polarizability | |
| 分子に外から電場Eが印加されると、電荷分布に偏りが生じ、αに比例した電気双極子モーメントpが生じる。これをp = αEと表すとき、αを分極率という。(記号αは消散係数の意味にも用いるので、混乱しないよう注意。) | |
| β線式質量濃度計 Beta-ray dust monitor | |
| 電子の流れであるβ線が物質を透過すると、物質内の電子と衝突・散乱を起こす。この特性を生かしてβ線源と検出器の間にエアロゾル捕集前・捕集後のろ紙を挿入し、その違いからエアロゾルの質量を求める装置。千葉における観測値は30-100mg/m3程度である。 | |
| 偏光解消度 depolarization factor | |
| ミー散乱ライダー測定において、レーザー光の偏光方向と同一の偏光で後方散乱された光のパワーをPp、垂直の偏光方向でのパワーをPsとするとき、δ = Ps / Pp を偏光解消度という。球形のエアロゾルからの一回の後方散乱では偏光の回転は生じないため、δ = 0 となる。鉱物由来のダストなど非球形粒子の散乱や、球形粒子(たとえば雲中の微水滴)であっても多重散乱が問題となる場合には偏光解消度がゼロでなくなる。 | |
| ホイットビーの2山分布モデル Whitby’s bimodal model | |
| エアロゾルの数密度分布を体積分布に書き換えると、数密度分布ではほとんど表れなかった粗大粒子側の起伏が強調され、半径0.5から1.0μmを境として微小粒子側と粗大粒子側の2つの山が規則正しく表れる。これはWhitby [1972]により発見され、この2つの山の間には質量の交換が殆ど無いことを見出した。このことは、微小粒子の凝集により粗大粒子が作られるのではなく、粒子の成因が両者で全く異なることを示している。 → 粒径分布 | |
| 放射強制力 radiative forcing | |
| 放射収支に関わるフラックスの増加または減少をいう。地球大気において、CO2、H2O、その他の微量気体は温室効果の担い手であり、これらの微量気体成分の量が地球規模で変化すると、その放射強制力により、地球の放射収支(放射の入出射によるエネルギーのバランス)の不均衡が生じる。CO2の地球規模における平均の放射強制力は1.5W/m2程度である。 → 太陽定数 | |
| 放射伝達コード radiation transfer code | |
| 衛星データから地表面反射率や大気の光学的厚さを推定する場合、放射伝達理論に基づくシミュレーションを行う必要がある。シミュレーションには放射伝達コードと呼ばれるソフトウェアが用いられ、太陽天頂角、衛星天頂角、大気分子の高度分布、エアロゾルパラメータ(消散係数、単散乱アルベド、非対称性パラメータなど)の高度分布、地表面反射率などのパラメータを仮定し、放射輝度成分(単散乱光路輝度成分、多重反射光路頃輝成分、地表面散乱成分、周辺効果成分など)を計算する。代表的な放射伝達コードとして6S、MODTRANなどがある。 | |
| 放射伝達方程式 radiation transfer equation | |
| 大気中を光が伝搬するとき、大気成分(大気分子およびエアロゾル)による光の消散の効果を考える必要がある。光線中から消散で光が失われる効果と、消散によって光線中に光が入ってくる効果(光源関数という)の双方を考慮して方程式を立てる。多重散乱を考慮した各種解法が考案されている。 | |
| マイクロパルスライダー Micro Pulse Lidar | |
| 市販のコンパクトなアイセーフライダー(Spinhirne, 1993)。半導体レーザー励起のNd:YLFレーザーの第2高調波により波長523nm、パルス幅10ns、パルスエネルギー5μJ、繰り返し2.5kHzのレーザー光を射出し、直径20cmのCelestron望遠鏡を100μradの受光視野角で用いている。検出器はアバランシュフォトダイオード(APD)で、光子計数法を採用している。エアロゾルに対しては10km程度まで、雲に対しては20km程度までの自動観測を昼夜にわたって行える。 | |
| ミー散乱 Mie scattering | |
| G.Mieによる散乱理論(1908)。均質な媒質(たとえば大気中)にある球形の誘電体(たとえばエアロゾル)について、単色平面波の電磁波が入射したときに生じる散乱波の強度分布を散乱角の関数として計算できる。球の半径をa 、電磁波の波長をλ とすると、サイズパラメータと呼ばれる量2 π a / λ が同一であれば、同一の散乱角度分布が生じる。サイズパラメータが小さい極限がレイリー散乱である。レイリー散乱では前方散乱と後方散乱が同じ割合で生じるのに対して、ミー散乱では一般に前方散乱が卓越する。 | |
| MODTRANコード Moderate Resolution Transmittance Code | |
| アメリカAFGL(Air Force Geophysics Laboratory)により開発された放射伝達コード。スペクトル分解能2cm-1(60GHz)で 0から50000cm-1までの波数について大気の透過率や放射輝度を計算することができる。2002年にMODTRAN4がリリースされている。→ 放射伝達コード | |
| ユンゲ分布 Junge distribution | |
| Junge(1955)により提唱された数密度粒径分布モデルの一つ。サブミクロン以上の粒径分布は、粒子半径のべき乗で減少する傾向があり、dN /d(ln r) = const×r −γ で表すことができる。ここで γ はユンゲの傾きと呼ばれ、粒径分布の特徴を述べる上で広く使用されている。一般的な都市域において、γ は3前後の値をとる。ユンゲの傾き γ と、オングストロームパラメータ p にはγ ≒ p + 2 の関係があり、両パラメータは、エアロゾルの物理的な特徴と光学的な特徴を結びつけるのに有効である。 | |
| ライダー lidar(light detection and ranging) | |
| レーザーレーダー(laser radar)ともいう。大気中にレーザー光を射出し、大気中の散乱体(エアロゾルや空気分子など)から後方散乱されて戻ってきた光を望遠鏡で受光し、光電子増倍管などの検出器によって電気信号を得る。数nsの短時間パルス光を用いれば、後方散乱光が戻った時間から距離を算出することができる。 | |
| ライダー方程式 lidar equation | |
|
ライダー信号強度、すなわち後方散乱光強度の距離依存性を表した方程式で、 P ( r ) = P 0 ・( c t p / 2 ) ・A K ・( G ( R ) / R 2 ) β( r ) e - 2 τ ( r ) のように表される。ここで、P 0 は出射されるレーザーパワー、t p はレーザーパルス幅、A は望遠鏡の受光面積、K は光学系の効率、G (r ) はレーザービームと望遠鏡視野の重なり関数、β (r )は後方散乱係数である。光学的厚さ t (r ) は消散係数 α (r )を用いて τ (r ) = exp[ −∫r0 α (r ' ) dr ' ] で与えられる。ライダー信号の解析は、消散係数α (r )と後方散乱係数β (r )の間に適当な関係を仮定して行われる。 → S 1パラメータ、重なり関数 |
|
| ラマンライダー Raman lidar | |
| 大気分子に単色のレーザー光が当たると、波長がシフトしないレイリー散乱光のほかに、ごく僅かなラマン散乱光が生じる。ラマン効果では波長が長波長側(Stokes光) または短波長(anti-Stokes光)にシフトし、その偏移は散乱体の分子種によって異なる。大気中の水蒸気の検出や、S 1パラメータの測定に用いられる。一例として、355nmのNd:YAGレーザー光に対してN2のラマン光は387nmに、またH2Oのラマン光は408nmに生じる。光子計数法が必要であり、測定は夜間に限られる。 | |
| Landsat/TM | |
| Landsatは、アメリカが1972年に世界ではじめて打ち上げた本格的な地球観測衛星であり、その優れた観測能力から人工衛星によるリモートセンシングの飛躍的な発展のきっかけを作った。TM (Thematic Mapper)はLandsat4号以降に搭載されたセンサの名称で、可視から短波長赤外までの6バンド(地表面分解能30m)と、1つの熱赤外バンド(同120m)をもち、観測幅は約185kmである。衛星の飛行高度は約700kmで、17日目に同じ地点の上空に戻る太陽同期準回帰軌道を描く。 | |
| ランバート・ビアの法則 ―’s law | |
| 散乱体(吸収体を含む)が存在する領域を光が通過するとき、光強度Iは距離zの関数として変化する。分布が一様であるときにはI (z )=I 0 exp(-N σ z )のように表される。ここで、N は散乱体の数密度、σ は散乱(吸収)断面積である。 → 光学的厚さ | |
| 粒径分布 size distribution | |
| 複素屈折率とともに、大気エアロゾルの光学特性を支配するパラメータ。微小粒子(粒径0.01-1μm)と粗大粒子(粒径1-10μm)のバランスはとくに重要で、都市大気のように微小粒子が多い場合には散乱の波長依存性が大きくなる(→オングストロームパラメータ)。粒径分布の記述には、ユンゲ分布や対数正規分布が用いられる。 → ユンゲ分布、ホイットビーの2山分布モデル | |
| 流跡線解析 backward trajectory | |
| 各種モニタリングデータや大気汚染のデータの解析において不可欠な大気塊の移動経路を流跡線(トラジェクトリ)という。計算には、ヨーロッパ中期天候予報センター(ECMWF)の全球の格子点データセット(客観解析データ)などがよく用いられる。 | |
| 量子カスケードレーザー quantum cascade laser | |
| PPLNを利用したレーザーとともに、中赤外光源として注目されるのが量子カスケードレーザー(QCL)である。QCLは電子注入型の半導体レーザーであるが、量子井戸に階段状バンド構造を形成し、この構造を電子が通り抜けるときに多くの光子が放出される。全体で500層からなり25層の活性領域の繰り返し構造を有する素子を使って波長4.2μmのパルス出力が8mWで得られた。その後、300Kにおいて波長5.2μmの出力がパルス(ピークパワー200mW、平均パワー6mW)で得られ、140K以下でのcw動作も確認された。 | |
| レイリー散乱 Rayleigh scattering | |
|
波長lよりずっと小さな粒径をもつ誘電体(分極率α )による光散乱の理論。入射光強度をI 0、散乱角θ 方向の距離r の点における光強度をI とすると、 I / I 0 = α 2 k 2 / (4 π ε 0)2・(1 + cos2θ ) / (2 r 2) が成り立つ。散乱光強度は波長の4乗に反比例するため、たとえば青い光は赤い光よりも大気分子により大きく散乱される(空の青さ)。レイリー散乱では前方散乱と後方散乱の角度分布は正確に等しい。 |
|
| レーザーレーダ laser radar | |
| → ライダー | |
| LESMS laser and external cavity synchronous modulation spectroscopy | |
| 波長変調分光法を、長い光路長を確保するための共振器と同時に利用する分光法。静的な光共振器は周期的な透過率特性を持っているため、そのままでは任意の波長で光を透過させられない。そのため、レーザーの波長変調に合わせるように動的に光共振器を変調させ同期させることで、波長変調法と共振器による光路長増大の両利点を活用することができる。 | |
| 6S Second Simulation of the Satellite Signal in the Solar Spectrum | |
| Laboratorire d' Optique Atomospherique で1990年代はじめに開発された5Sコードの改良版。各衛星センサの応答関数が搭載されており、MODTRANなどの一般的な放射伝達コードに比べて衛星が観測する輝度値の計算が容易に行える。 → 放射伝達コード | |
| ≫HOME |