複数の多時期画像を重ね合わせるためには幾何補正が必要である


幾何補正とは何か

画像情報を重ね合わせるために、ある画像を基準画像と合わせることである。あるいは緯度・経度と対応づけて、地図情報と重ね合わせを行うことである。

この画像は実は幾何補正されています

フォルダ名p168r64_5t870225.TM-EarthSat-Orthorectifiedを思い出してください。Orthrectifidedとは地形によるひずみも含めて補正されているという意味です。
ファイル p168r64_5t870225.met を読んでください。この画像のメタデータが書き込まれていますが、重要な情報は@投影法がUTM37であること、AデータムがWGS84であること、B左上隅の座標(UTMですので単位はm)、C空間分解能28.5m、です。
この情報をER Mapper に与えることができます。アルゴリズムウインドウ(メインメニューではありません)の[EDIT]-[Properties]でDataset Informationボックスが開きます。[Edit]ボタンを押して、編集に入ります。[Coord Space]で、Datum⇒WGS84、Projection⇒NUTM37、Coordinate Type⇒EN、Unit⇒meters、と入力します。次に、[Raster Info]でCell Size⇒28.5、Registration Pointでは、Easting⇒73957.500000、Northing⇒-535515.000000を入力します。この数字はメタデータファイルに書かれていたX_START 7.3957500000E+04、Y_START -5.3551500000E+05の値です。これが画像の0,0の位置のUTM座標になります。
設定が終わったら変更を適用して、画像を再表示させます(メニューのRefreshボタン)。カーソル位置の座標を読んで見ましょう(カーソルがポインターの時に、画像上で右クリック、[Cell Coordinate]を選択。あるいは、メインメニューから[View]⇒[Cell Coordinate])。

重要なポイント

ドドマの経度はだいたい35°45′です。ドドマの東方約27kmで経度は36°になります。ここがUTMの36帯と37帯の境界です。画像全体の範囲ではUTM37帯の占める面積が大きいので、この画像はUTM37帯で幾何補正されています。しかし、ここで解析する領域はドドマと、その北のマクタポーラ盆地であり、ここはUTM36帯です。そこで、以下ではUTM36帯の幾何補正画像を作ります。

複数の画像を重ね合わせるには−基準画像の作成−

画像が緯度・経度と対応づけられても、位置精度が保証されていない場合、複数の画像が正確に重なっているかどうかわかりません。一番確実な方法は基準画像に対して、画像対画像で個々の画像を合わせていく方法です。まず、基準画像を作成しましょう。
簡単にはいけない場所の画像を幾何補正するためには、画像の中に見える特徴点(これをGCP、Ground Control Pointと呼びます)の緯度・経度をGoogle Earthで見つけるという方法がありますが、位置精度がよくわからない。
そこで、私が使っている便利な方法をお教えします。幾何補正されたTMモザイク画像であるGeocover TMモザイク画像のサイトからはMrSIDアルゴリズムで圧縮された画像をダウンロードすることができます。この画像は私の持っているユーティリティーでGeoTiffに変換することができます(今は有償のユーティリティーがあるようです)。これをER Mapperで読み込んで、フォーマット変換を行い、投影法を設定してやればベースマップとして使うことができるようになります。位置精度はまあまあだと思います。正確な地形図のない海外の画像の解析にはこれで充分でしょう。
これは私が慣れているやり方ですが、MrSidをサポートするソフトで直接読み込めば何の問題もないと思う。
GeocoverのデータはDB_LD01のUser_Shaered_FolderからGetしてください。Dodoma_2000 で入っています。この画像の分解能は14.25m(ETM+のパンクロ画像でパンシャープンしてあります)、データムはWGS84、投影法はNUTM36です。

1987年2月25日の画像をDodoma_2000を基準画像にして幾何補正してください

覚えておかなければならないのは、投影法。画像のDatumはWGS84、投影法はUTMゾーン36です。TMの分解能は28.5mにしておきましょう。
1972年の画像はMSSです。空間分解能、バンド数がTMとは異なります。MSSの分解能は57mにしておきましょう(28.5×2)。

解析領域の決定

後で様々な画像情報を重ねるために、解析領域を決めて画像のリサンプリングをしておきましょう。マクタポーラ盆地が中央に位置する範囲で、左上(5°20′S、35°10′E)、右下(6°30′S、36°20′E)としましょう。一部、画像の撮影範囲外も含まれますが、よいとしましょう。
ER MapperのGeocoding Wizardで1)〜5)の手順を順に実行します(メインメニューのProcessの中にある)。1)で補正するファイルを指定し、Polynomial(多項式モデル)を選択します。2)では多項式の次数を指定しますが、まずはLinear(1次式)を選択。3)のPicking MethodのGeocoded image, vectors or algoriyjmで基準画像を入力します。Dodoma_2000.ersを入力すると、Output Coordinate SpaceはWGS84, NUTM36, Easting/Northingになるはずです。4)GCP EditでGCPをピックします。これは慣れるまでマニュアルを読んだり、わかっている人に聞いたりして覚えること。5)で出力ファイルを指定しますが、出力範囲の指定はEdit Extentsで行います。
この画像のサイズは4553ライン、4514ピクセルになります。

基準画像に合わせて、1972年および2001年の画像も幾何補正してください。

カラスの勝手で良いのですが、ファイル名は19721225_UTM36、19870225_UTM36、200110311_UTM36にしておきましょう。

幾何補正された多時期の画像を表示され、違いを判読してください。


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