森と人の関係 Future EarthおよびSDGsの時代では、リモートセンシングに関わる学術は課題解決型科学(Solution-oriented science)にならなければならないと考えます。もちろん、自分の好きなことを研究したいという意思は尊重されなければなりません。しかし、未来の科学者コミュニティーがどうなっているか、科学と社会の関係はどうなっているか、自分なりの考え方を確立して、人生を歩んでください。今、(狭義の)科学者コミュニティーの外側から聞こえてくる声は、“論文を書きさえすれば、自分ではない、誰かが社会のために役立てるわけではない”という声です。リモートセンシングの対象について学び、リモートセンシングを社会の中にどのように埋め込むか、考えてください。
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・この写真は千葉県中央部の上総丘陵、大福山の近くで11月頃撮影しました。 ・濃い緑で見える針葉樹と、葉を落とした落葉広葉樹が見えます。針葉樹と落葉樹の分類は衛星リモートセンシングの定番です。 ・得られた土地被覆図(植生図)あるいは画像そのものから何が読み取れますか。 ・列島スケールの潜在植生図を見ると、千葉県は照葉樹林になっていると思います。しかし、実際には丘陵部は若干標高が高いので温度条件によって落葉広葉樹林も広がっています。 ・針葉樹はスギ、ヒノキの人工林で、人の手が加わっています。拡大造林後の外材の普及により放置された人工林かも知れません。 ・この現場ではどんな問題が起きているか。林業の衰退、過疎・高齢化による人手不足、いくつかの仮説を立てることができます。そうなったら調査を実行するのみです。 |
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・ちょっと古いのですが、GlobalForestWatchからコピーした森林分布図です。 ・現在の森林分布が上。日本人にとって森林の存在は当たり前ですが、そうではない地域が世界にはたくさんあります。 ・中央が潜在植生の分布と言えます。上の図と比較してください。人間が如何に森林分布を狭めてきたか理解できます。 ・下が現在残されている自然林ですが、正確には天然林と言った方が良いかも知れません。二次林も自然林です。 ・森林が分布域を狭めたことにより、どんな問題が生じているでしょうか。これを考えることからグローバルリモートセンシングの価値を見つけることができます。 ・ただし、ホームページをよく読んで、森林の定義や作成方法を確認してください。そこから、新しいアイデアが生まれることがあります。 |
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・世界森林白書がFAOから出版されていますが、その2000年版からの引用です。 ・世界の森林分布域をその群系と共に理解してください。 ・世界の森林面積は減っています。しかし、地域ごとに見た場合、増えている地域と、減っている地域があることに気付いてください。 ・地域ごとの事情を理解することが、環境問題の理解と解決につながります。 |
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・これはインドネシア、ジャカルタとバンドンの間の峠で撮影した写真です。遠くに熱帯林特有の高木も見えますが、ほとんどが二次林あるいは茶畑です。 ・背景には人口の動態や、社会経済的な事情があります。見えているものと人間システムの関係を明らかにして、見えていることの意味を探ることが環境リモートセンシングの研究です。 |
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・森林はいつから存在し、どのような歴史を経験してきたのだろうか。それは人類の歴史と関係があるのだろうか。 ・300万年前頃に寒冷化が始まっているが、この時、パナマ地峡が閉じ、太平洋と大西洋が分離されたことが寒冷化の要因になったという仮説があります。 ・100万年前頃から寒暖の震幅が大きくなっていますが、その時、ヒマラヤの隆起が始まっています。それが氷期-間氷期サイクルを生み出したという仮説があります。 ・気候変化に伴い、植生も当然その分布を変えたことでしょう。 |
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・前期の仮説は、100万年スケールの気候変化も、特定の地域の出来事がきっかけになっています。 ・カリブ海が太平洋と同じ性質を持っていることは島嶼の形状を見ても想像つきます。ここは地質図等で確認すること。 ・インド亜大陸がユーラシア大陸と衝突して、チベット高原が形成され、四川盆地周辺は地層が押し曲げられていることもわかります。チベット高原はモンスーン循環を理解するための重要地域です。モンスーンはアジアの風土を形成しました。また、四川では大地震があったことは記憶に新しいでしょう。 |
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・10万年ス・ヨーロッパやアメリカでは地形学的証拠に基づき、4~6回の氷期が確認されています。最新の氷期はヨーロッパの呼び方ではウルム氷期と呼ばれ、その最寒冷期は約2万年前でした。 ・南極の氷床の氷からは過去100万年間の気温変動を読み取ることができます。それによると氷期-間氷期のサイクルは約10万年の周期で繰り返されています。 ・図は南極ボストーク基地でサンプルされたアイスコアから再現された過去20万年間の気温、二酸化炭素、メタンの変化です。 ・中央の気温の変化を見てください、約12万前が前の間氷期(氷期と氷期の間の温かい時期)です。間氷期が終わると気温は徐々に下がり、約2万年前以降急激に上昇しています。気温の上昇は約1万年前に終わり、現在は寒冷化に向かっているように見えます。 ・本来ならば、次の氷期に向かう過程にあるのですが、人間活動による地球温暖化が生じているのです。どう考えますか。ケールでは規則正しい寒暖の変化が認められます。 |
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・ヨーロッパや北アメリカは氷期には氷床で覆われ、その前面は寒冷な周氷河地域でした。 ・ヨーロッパの森林はアルプスや地中海に南下を阻まれ、一度滅亡しています。 ・現在のヨーロッパの植生はその後の1万年で再生したもの、あるいは植林されたものです。 ・一方、日本の植生は第三紀から続く太古の森であり、だから豊かな森になったわけです。 |
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・約2万年前の日本の植生帯の分布を示した図です。 ・日本列島の形が異なるのは、海水準が約100m低下していたからです。このチャンスに人を含む動植物が日本にやってきたことでしょう。 ・千葉県は冷温帯落葉広葉樹林になっています。現在の東北地方、宮沢賢治が描いた森の景観が広がっていたことでしょう。 ・北海道東部にはツンドラが広がっています。現在ならば北極圏に相当します。 ・照葉樹林は南西諸島の一部に分布域を狭めています。 ・もちろんこの図は潜在植生図と同じで、実際には寒冷な条件を耐え忍んで、温かい時代の到来を待っている照葉樹林も残っていたに違いありません。 |
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・氷期は約1万年前に終わり、気温の上昇が始まります。この時期を後氷期と呼びます。 ・寒い地域に棲む動植物は北あるいは高地へ移動しますが、高地に向かった種は山頂部に閉じ込められてしまいます。 ・ライチョウ(雷鳥)やナキウサギは有名ですね。なお、モンゴルに行ったときに草原の中でナキウサギを見ました。 ・千葉県にも氷期の針葉樹が残っている場所があります。清澄寺の近くですが、次の氷期の到来を待ち焦がれて1万年耐えてきたのですね。地球温暖化の時代を苦々しく思っていることでしょう。 |
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・中世温暖期の後、地球は再び寒冷期に向かいます。 ・16~19世紀頃は小氷期と呼ばれる寒冷期で、ヨーロッパでは魔女狩り、ペストの流向、飢饉のため人口を減らしています。 ・それがアメリカ大陸への移住のモチベーションともなっています。 ・でも、アメリカでもフロンティアの開発のため、森林面積を大幅に減らしています。 ・森林は人間の歴史との相克によって現在の姿になったといえます。 |
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・10世紀頃は中世温暖期といって温暖な時期でした。この時期にヨーロッパ農法によって広大な畑が産み出されました。 ・封建制が成立し、お城とお姫様とナイトというイメージのもとになりました。 ・しかし、20世紀の初頭、もっと森を保全しなければならないという機運が高まり、近代的な林学がヨーロッパで生まれました。 ・その頃、日本とアメリカから留学した林学者が、それぞれの国の森林水文学の礎を気付きました。右下の写真は東京大学愛知演習林の流量観測堰です。100年近いデータの積み重ねがありますが、予算削減の嵐の中で、貴重な観測施設は守られるのでしょうか。大学人としては、その価値を認識できる教育を行っていきたいものです。 ・その後、植林、森林再生により現在のヨーロッパの森林景観が形成されました。 ・ドイツのシュバルツバルト(黒の森)は森林再生事業により復活した森です。 |
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・アメリカでもヨーロッパからの移民が(ネイティブアメリカンの土地で)農地開拓を進める過程で森林を減少させました。 ・20世紀初頭にヨーロッパに留学した林学者はノースカロライナに森林水文の試験地を設置しました。100年近くにわたり継続した観測から森林の水文学的機能に関するたくさんの成果が得られています。 ・自然を相手にする研究は時間がかかるもので、毎年たくさんの論文を書かなければ昇進できないようなシステムのもとでは到底得られない貴重な成果です。 ・研究の価値とは何だろうか。これらの過程を知らなければリモートセンシングを活用できる課題を立てることもできないと思います。 |
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・日本の基本図である5万分の1地形図は明治から大正期に日本全土を覆いました。そこには土地利用が記載されています。 ・北海道教育大学名誉教授の氷見山幸夫先生は2kmメッシュごとに丹念に土地利用を読み取り、100年前の土地利用図を完成させました。 ・明治・大正期の植生(土地利用)は現在と大分異なっています。ベージュ色の荒れ地の分布に注目してください。 ・荒れ地は九州、西日本を中心に各地に存在していることがわかります。 ・愛知県瀬戸市あたりにもベージュが見えますね。 |
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・瀬戸市周辺には花崗岩が広がり、古くから陶土の採掘、樹木の燃料としての利用、等のため、山は荒れました。 ・明治以降、砂防・緑化工事が進められ、現在では緑豊かな森が再生されました。 ・その会場として愛知環境万博が開催されましたが、会場の海上(かいしょ)の森における樹木の伐採には反対運動が起きました。愛知万博マスコットのモリゾー、キッコロは森の精ですが、100年前にはここにいなかったわけです。 ・現在の森林景観は昔からそうだったのではなく、人と自然の歴史の中で形成されてきたもので、将来も変わっていくものなのです。 ・日本の森林は明治以降の努力によって再生された場所がたくさんあります。 |
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・もう一度、明治・大正期の植生を見てみましょう。 ・日本各地で様々な物語が展開されたわけですが、調べて見よう。 ・前段で日本の森林は明治以降の努力によって再生されたと述べましたが、この図を見ると明治期には森林がたくさんあったではないか、と思われるかも知れません。 |
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・その森の多くは二次林だったのです。 ・森を伐採した後、再生した森林が二次林ですが、地域によって樹種が異なります。日本の南岸では照葉樹、東北では落葉樹が最初に再生します。 ・しかし、アカマツが再生する地域があります。その分布は花崗岩分布域とよく一致します。 ・花崗岩は風化すると崩れやすいマサと呼ばれる砂質土の土層を形成します。乾燥しやすいのでアカマツしか生育できなかったわけです。 ・アカマツは火力も強いので、燃料としての利用も盛んでした。 |
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・アニメ「もののけ姫」に出てくるたたら場はタタラ製鉄の現場です。 ・中国山地には古事記の時代からタタラ製鉄がさかんに行われており、「もののけ姫」で描かれたように山は荒れました。 ・河川は大量の土砂を運び、時には土石流として流下し、人の暮らしを奪いました。 ・右下の写真は斐伊川の河口です。網状流を呈していますが、それは川が礫を運ぶこと、洪水時には大量の土砂を運ぶことを示しています。 ・遠くに自然堤防と後背湿地が見えます。水害に悩まされた地域であることが写真からわかります。 ・このような経験的知識はリモートセンシング画像判読において必要な知識になります。頭で考えた単純なメカニズム通りに自然は振る舞ってくれません。自然に対する深い認識がリモートセンシングを活用する前提です。 |
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・近世のタタラ製鉄の様子です。もののけ姫では女性がふいごを踏んでいましたね。酸素を送ることにより高温を得て、そこに砂鉄を注入し、炉の下部から銑鉄を得ています。 ・燃料は斜面から切り出した材が用いられました。 ・砂鉄は花崗岩の風化土層から得ました。砂鉄を選別するために水流を使った比重選鉱が行われました。これを鉄穴(かんな)流しと呼びます。 ・この過程によって山地斜面は荒れ、川は暴れ川となり、もののけは怒り、下流の人の暮らしは脅かされました。 |
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・日本の山林に二次林が多いもう一つの理由が焼き畑(切り替え畑)です。 ・日本では昭和30年代頃まで焼き畑が広k営まれてきました。 ・焼き畑は持続可能な農業であり、山村には1000年続いているものもあります。人口問題、社会問題に起因するアジアの焼き畑とは区別してください。 |
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・明治・大正期と調和中期の土地利用を比較してみましょう。 ・何が見えますか。 |
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・みなさんは森林というとどのような樹種を思い浮かべるでしょうか。以外とスギ、ヒノキの人工林かも知れません。 ・それは戦後の復興のために、スギ、ヒノキ、カラマツといった材として使える樹種の植林が奨励されたからです。 ・(寒冷な地方ではカラマツが植栽されますが、カラマツは落葉針葉樹です)。 ・これを拡大造林と呼んでいますが、その後、規格の整った外材が輸入されるようになり、一部の山地を除いて林業は衰退していきます。 ・都市近郊で人工林が多いのは拡大造林の時期の名残と言えます。日本の森林面積は約70%であり、樹木は日本の貴重な資源です。これを何とかうまく活用していきたいものです。 |
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・日本の基本図である5万分の1地形図は明治から大正期に日本全土を覆いました。そこには土地利用が記載されています。 ・北海道教育大学名誉教授の氷見山幸夫先生は2kmメッシュごとに丹念に土地利用を読み取り、100年前の土地利用図を完成させました。 ・平成の土地利用図と比較するとどんな変化を読み取ることができるでしょうか。そこには日本人が歩んできた歴史の物語が刻み込まれています。 ・植生域の色が変わっていますね。それは拡大造林と関係しています。 ・北海道東部の土地利用が変わっています。それは明治政府の外貨獲得の戦略、開拓の厳しい歴史が背景にあります。 ・その他、たくさんの物語が記録されていますが、よく観察して読み取ってください。 |
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・この100年間で山村の生業は大きく変わりました。 ・これは高知県檮原村における生業の変化です。社会的背景の変化によって生業がどんどん変化していったことがわかります。 ・檮原村は幕末に土佐から京に上がるときに松山に向かう檮原街道が走っています。当時の生業が焼き畑農業であったことから、坂本龍馬や岩崎弥太郎は草原の中を歩いて松山に向かったのかも知れません。 ・気候変動の中、温暖化の影響で生業が成立しなくなることが問題とされていますが、同じ長さの時間スケールで生業を変えざるを得なくなった社会があるということも覚えておいて欲しいと思います。 |
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・数千年におよぶ人と自然のつきあいの中で形成されてきた生態系が里山です。 ・この図は日本の潜在植生図ですが、森林を開発すると先駆的な樹種が侵入してきます。 ・永年にわたり利用していると、新たな平衡状態としての生態系が成立します。それが里山です。 |
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・潜在植生は人間が攪乱しなかったら成立するであろう植生です。 ・日本の森林はほとんどが二次林、すなわち人が利用した後に再生してきた森林です。二次林も自然林ですが、手つかずの天然林は日本では一部にしか残っていません。 ・数千年にわたる人間の土地利用は里山と呼ばれる新しい平衡状態としての生態系を産み出しました。 ・人が谷津を水田として利用することにより、カエルやトンボ(幼生はヤゴ)が発生し、それを食べる動物が生きていけます。画の上方に猛禽類がいますが、食物連鎖の上位として生息しています。もちろん、食物連鎖の最上位は人間です。 ・斜面の落葉樹は燃料として利用されます。炭焼きが見えるでしょう。落葉樹は伐採されても、千葉辺りですと20年くらいで再生します。持続可能な資源だったのです。 ・谷津の谷頭は水が湧き出し、湿った場所でも育つ杉が見えています。尾根の上部は乾燥するので、乾燥に強い松が見えます。 ・農家も見えますが、これは貧しい暮らしでしょうか。ひょっとしたら最高に豊かな、持続可能な暮らしかも知れません |
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・氷見山先生の土地利用図を拡大しました。 ・まずわかるのは東京大都市圏の拡大です。都市化が進みました。 ・山地の色が変わっています。広葉樹が減り、針葉樹(混交林)が増えました。また、荒れ地が昔はずいぶんあったことがわかります。それは屋根を葺いたり、家畜を放牧する茅場が必要だったからです。阿蘇の草千里、箱根の仙石原といった観光地に面影を残しています。 ・関東山地に沿って桑畑がたくさんあります。それは明治政府が外貨獲得のために奨励した養蚕と関係があります。桑は蚕の食料ですね。 |
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・明治政府は治水に関わる三つの法律を制定し、西洋式の治水を始めました。川というと堤防が延々と続く姿を想像しますが、それが成立したのが明治時代です。 ・その結果、川は氾濫して平野を造ることができなくなり、都市域からの排水路と化し、降雨の度に氾濫を繰り返すようになりました。 ・下の図は東京下町低地の横断面図です。川の水位は堤防の設計基準である計画高水位を現します。 ・この図から低地の治水安全度についてどのように感じますか。ここに棲んでいる人々はコストをかけた治水施設によって守られていると言えます。 ・江戸川区の洪水ハザードマップを確認してください。ここにいてはダメです! |
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・2019年の多摩川の氾濫は記憶しているでしょう。その場所は、この写真のすぐちかくでした。 ・1974年にも破堤を引き起こした水害がありました。この時流失した家屋の持ち主は国に管理義務があったとして訴訟を起こし、勝訴しました。 ・行政には住民を守る義務があります。それはどんな場合でも可能でしょうか。地域は何をすればよいのでしょうか。 ・多摩川の堤防はなぜまっすぐなのでしょうか。砂岩に見える曲がりくねった道はなぜ曲がっているのでしょうか。 ・多摩川の治水史には編笠事件などたくさんありますので調べて見よう。 |
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・その後、日本は水需要量の減少、環境に対するマインドの変化がありました。 ・その結果、河川法が平成9年に改正されました。 |
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・2000年には東海豪雨が発生し、三大都市圏のひとつ、名古屋が浸水するという災害が起きました。 ・一滴たりとも水を都市に入れないという明治以降の政策に限界が見え始めました。 |
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・その結果、水防法が改正され、ソフト対策してのハザードマップの作成と公開が自治体に義務づけられました。 ・国交省のハザードマップポータルで全国のマップを見ることができます。 ・自己責任とは、ちょっと厳しく書きすぎていますが、あくまでも注意を喚起するため。行政はちゃんと住民の安全を確保する努力をしてくれます。 ・でも、住民も土地の性質を理解して、諒解して暮らしてほしい。ハザードが近づいたら安全を確保する行動をとってほしいと思います。 ・でも、安全確保はどうしたらよいのでしょうか。 |
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・緑のダムの機能に関する議論があります。 ・森には急激な出水を緩和する機能はあります。ただし、その機能には限界があるということに注意してください。 ・森の整備も治水のための一つの方法として、複数の方法を組み合わせて地域を守るということ。ひとつの方法に頼り切らないことが大切だと思います。 ・治水の機能を発揮する森はどんな森か。それがわかればリモートセンシングで森を診断することにひとつのモチベーションになります。 |
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・森林の機能に関する議論に針葉樹が良いのか、落葉樹が良いのか、という議論があります。 ・一つの答えがあるのでしょうか。 ・この写真は白神山地のブナ林です。きれいですね。こんな森があったら良いですね。 |
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・二つの本を紹介します。 ・といっても学術書ではありません。ひとつは小学生向けの写真絵本、もう一つは写真が入ったエッセイ本です。 |
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・秋田県にはブナの森や人工林の森があります。 ・日本海側では洪水の季節は融雪期です。融雪期の水量とその他の季節の水量の差が小さい川が水資源を得やすい川です。 ・広葉樹の多い岩見三内川が融雪期の洪水を緩和し、融雪期以外にも豊富な水量を保つ、水資源を利用しやすい川ですね。 ・雪が溶けきるまでの期間が長いほど、たまった雪をゆっくり流してくれるので、水資源を利用しやすい川です。 ・岩見三内川と藤琴川がゆっくりと雪を流出させます。 ・なるほど、落葉広葉樹のブナはいいねぇ、ということになります。 |
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・でも、富山和子さんは杉の流域が流れを保っていると言います。では、針葉樹がよいのでしょうか。いったい、どっち? ・この針葉樹林はきちんと手入れがされて、間伐も枝打ちもされていて、森林土壌も保全されています。 ・こういう流域では豊かな水を育みます。 ・一方、白神山地のブナの森は生態学的に平衡状態に近い森です。こういう森は水を保ち、ゆっくり流出させます。 ・また、白神山地は積雪地域であることも、豊かな水を育む理由になっています。 ・きちんと保全されるか、手入れされている森林ならば水を育むことができると言えます。 ・すなわち、いろいろな場合があるということです。一つの答えを探してしまうと、真理に到達できなくなります。真理は決して普遍的なものではないのです。 |
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・カウィータ流出試験における研究成果の例です。 ・落葉樹を伐採し、松(常緑針葉樹)を植えるとどうなるか。 ・落葉樹が伐採された直後は流出量が増えます(それも300mm近くも!)。その後、松の成長とともに流出量は減り、松の林冠が閉じて10年も経つと広葉樹の時より200mmも流出量が減っています。 ・その理由はスライドに書いたとおり。 ・植生が変わるだけで年間500mmもの流出量が調整できるとはすごいことでしょう。 ・また、この実験は20年近くの時間を費やしています。本質的な研究成果を得るには時間がかかります。 |
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・これで、答えはひとつではないということがわかったでしょう。物理や数学を学んでいる皆さんは答えはひとつと思っているでしょう。 ・しかし、環境には様々な場合、事情、地域性、があります。 ・問いは、場所と関係し、問いに対する答えは、場所の持つ諸条件に関係します。 ・また、その場所が歴史的にどんな経緯を経てきたかということも重要な観点です。 ・でも、それがわからなければ、その場所の環境は理解できず、そこで生じている問題は解決できません。 ・近代科学で目指している普遍性は、環境という場面では、ベースにあるものです。ベースの上にのる個別性を理解することで、我々は問題を理解することができるようになります。 |
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・これが答えです。 ・目の前にある対象を、空間軸と時間軸で捉え、理解しようとする試み、それが環境研究の姿勢だと思います。 |
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・では、緑のダムの機能はどうなった? ・一回の降雨イベントの送料が大きくなると、増えた量に応じて流出量も増えます。 ・それは、森林が治水機能を発揮していることになります。 ・しかし、降水量が増えると、もはや治水ダムとしての機能は失われます。 ・超過降雨が増えてきた昨今、私たちは森林の機能をどう捉えたら良いのでしょうか。 |
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・じっくり読んでください。 |
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・環境とは人を取り巻いて相互作用する周りでした。 ・周りには自然があります。 ・環境を研究する、理解しようと試みる、ということは生き様を考えることです。 ・それは、人と自然のつきあい方を考えることでもあります。 |
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・まとめです。 |
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・もう一度、日本の森の変遷を考えて見ましょう。 |