MSS CD-ROM もちろん、他のセンサーにも応用できます。

埼玉県鳩山にある地球観測センター(EOC)で受信されたMSSを読み解いてみましょう。

これは、地球観測情報システムから登録ユーザーとしてリクエストしたデータですが、一般のユーザーはリモート・センシング技術センター(RESTEC)、そのほかの代理店を通して購入することになります。

届いた、CDの中身はこのようになりました。MSSの場合、CD枚に6シーン入りますので、SCENE01〜SCENE06の6つのフォルダ(ディレクトリ)の中にデータが格納されています。

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ここで、*.LABというファイルが見えます。これはファイルの内容を説明したファイルでテキストファイルです。アイコンが秀丸エディターになっているのは、たまたま著者がLABという拡張子のファイルを秀丸に関連づけているだけですので、悩まないように。SCENE001.LABの中身を見てみましょう。

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これで、フォルダSCENE001の中身は、パス:123、ロー:26、1980年9月8日撮影のランドサット2号によるMSSデータであることがわかります。では、フォルダSCENE001の内容を確認しましょう。

コマンドプロンプトを使える方ならば、SCENE001に移動して(CD SCENE001)、DIRと入力すると、フォルダの中身が表示されます。

中に、サイズが約10MBのファイルが4つありますね。これがそれぞれバンド4〜7に対応する画像データです。ひとつを選択してプロパティーをみてください。サイズを見ると10.2 MB (10,742,400 バイト)とあります。

さて、データは各バンドごとに独立したファイルとして格納されていることがわかりました。これをソフトウエアで読み込むためには、画像のサイズ(ライン数、ピクセル数)を知る必要があります。それはどこに記録されているでしょうか。

LEAD04.DATやVOLD.DATというファイルはテキストファイルですので、エディタで中身を見てみましょう。すると、2984とか3600とかいった数字を見つけることができます。センサーによって画像サイズはだいたい決まっていますので、慣れてくるとこの数字が怪しいということがわかります(もちろん、ドキュメントを探せばどこかに書いてあるのでしょうが、筆者はいつもこうしています)。

ここで、2984×3600を計算すると、10742400になります。これは先ほど確認したファイルサイズ、10,742,400 バイトと同じ数字ですね。MSSは画素あたりの反射輝度が1バイト(8ビット)で記録されていますので、2984×3600×1となるわけですね。

注)プロパティーで表示されるサイズは(上の例だと、10,491KB)は1KB=1000バイトとして計算された値です。実際は1KB=1024バイトですので、10491KB=2984×3600×1000÷1024の値が表示されているわけです。サイズは、プロパティーのカッコ内の値か、コマンドプロンプトのDIRで表示される値を参照しましょう。

これで、画像のサイズがわかりましたから、単バンド画像データはアプリケーションソフトウエアで読み込むことができます。ER Mapperならば、メニューから [Utilities]-[Import ASCII and Binary grids]と進み、[Binary BIL]か[Binary BSQ]で読み込めば良いわけです(単バンドなので、BILでもBSQでもどちらでも良い)。

注)この画像の場合、1ラインのサイズが3600バイトで、2984ラインあります。もし、サイズが合わなかったらラインを+1して、2985とするとあう場合があります。これは1ライン分の領域に、その画像に関する属性情報を格納している場合があるからです。このときはインポートの際に、1ライン分の領域をスキップしておけば良いでしょう。ER Mapperの場合は、インポートのセットアップ(Setupボタンがあります)で、Header Offset を所定のバイト数、ここでは3600としておけばよろしい。

これで、画像のサイズがわかりましたから、単バンド画像データはアプリケーションソフトウエアで読み込むことができます。ER Mapperならば、メニューから [Utilities]-[Import ASCII and Binary grids]と進み、[Binary BIL]か[Binary BSQ]で読み込めば良いわけです(単バンドなので、BILでもBSQでもどちらでも良い)。

後からアプリケーションソフトウエアで連結することができますが、めんどくさいという方にはこんな方法があります。ファイルを連結する技として、コマンドプロンプトで、copyコマンドを使う技があります。

copy/b IMGY_04.DAT+IMGY_05.DAT+IMGY_06.DAT+IMGY_06.DAT filename.bsq

このように、COPYコマンドにはファイルを連結する機能があります。ただし、バイナリーファイルの結合ですので、/bオプションを付けます。ソースファイルを+で連結し、新しく造るファイルを最後に書きます。

注)ファイルにはテキストファイルとバイナリーがありますが、テキストは文字列のコードが格納されたファイルであり、秀丸等のエディターで中身を見ることができます。テキストファイルはその終わりを示すコード[EOF(End Of File]]が最後に入るという約束がありますが、[EOF]を意味するコード(^Z:コントロール ゼット)もバイナリーファイルでは当然ファイル中に含まれる可能性はあり、ファイルの終わりを意味するわけではありません。そこで、copy/bのように、連結するファイルがバイナリーであることを明示する必要があります。
注)CD-ROMに格納されていたファイルは、プロパティーで見ると、読み取り専用(R)にチェックがついている場合があります。その際は、チェックボックスのチェックをマニュアルで外すか、コマンドプロンプトから、attrib -r *.* と入力して読み取り専用属性を解除する必要があります。

copy/bで連結したファイルはBSQ形式になっています。ER MapperからBSQとしてインポートしましょう。コマンドプロンプトから下記の様に入力し、123-26.BSQというファイルを作成しました。

copy/b IMGY_04.DAT+IMGY_05.DAT+IMGY_06.DAT+IMGY_07.DAT 123-26.BSQ

拡張子を*.BSQとしたのはファイルの形式を忘れないため(最近物忘れが良くなってきたため(^_^;)。123-26.BSQはサイズは2984ライン、3600ピクセル、4バンドのデータになります。ER MapperのBSQインポートモジュールを使ってERSファイルを生成しましょう。

この画像のサイズは3600ピクセル×2984ラインですが、*.LABファイルには3548ピクセル×2983ラインと書かれています。下の画像をよく見ると赤く見える画像は菱形をしています。これは衛星が画像の上端から下端まで飛行する間の地球の自転を補正しているからです(スキュー補正)。よって、両端の黒い部分を含めたピクセル数が3600であり、画像の部分だけだと3548ピクセルになります。また、ライン数がひとつ多いのは1ライン目に画像に関する情報が記録されているためで、画像データは2ライン目から始まります。1シーンのみの利用の場合はあまり問題ありませんが、モザイクを行う際には1ライン目はER Mapperへのインポート時にスキップしておきましょう。 

123-26は中国とロシアの国境地帯です。画像右下を黒竜江(アムール川)が右方向へ流れています。アムール川流域では土地被覆の改変が進み、アムール川を通じたオホーツク海への鉄の供給が少なくなっているのではないかといわれています。オホーツク海はずっと下流ですが、陸地と海洋の環境の間には関連性があり、それを発見することが問題の認識、対策につながっていきます。


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